労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大柴工務店・中山水道 
事件番号  神奈川地労委昭和50年(不)第24号 
申立人  全日本自由労働組合神奈川県支部 
被申立人  有限会社 中山水道 
被申立人  株式会社 大柴工務店 
命令年月日  昭和51年 8月 6日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合結成直後の夏期一時金交渉中にN水道が突如会社解散、全員解雇を通告し、また、親会社であるO工務店がN水道の解散等に関する団交申入れを、使用者性がないとして拒否した事件で、両者の共同責任において原職又は原職相当職への復帰、バック・ペイ、及び団交拒否の禁止を命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社大柴工務店および有限会社中山水道は共同の責任において全日本自由労働組合神奈川県支部港北分会中山水道支部所属組合員たる従業員に対して次の措置を含め昭和50年7月20日づけの全員解雇がなかったと同様の状態に回復させなければならない。
(1) 原職又は原職相当職に復帰させること。
(2) 解雇の日から原職復帰までの間の賃金相当額を支払うこと。
2 被申立人らは夏期一時金の問題および昭和50年7月20日づけの解雇通告の撤回に関する問題を含め申立人の申し入れる団体交渉を拒否してはならない。 
判定の要旨  1800 会社解散・事業閉鎖
代表取締役Y1が経営意欲を喪失した理由としてあげる一時金交渉の経過もその根拠に之しく会社の経理状況もそれほど追いつめられた事情もないのに会社解散、全員解雇に踏み切ったのは、組合結成直後の組合員全員解雇の企図が失敗し撤回せざるを得なかったことから見て、組合壊滅を意図した不当労働行為である。

4915 親会社
親会社であるO社の出資状況及び役員構成、従業員の相互融通の実体、O社の下請発注工事の約3分の1を会社が占めていること等から、会社はO社の支店の域を出ず、O社の代表取締役であるY2夫妻の経営する営業体であって、O社は本件不当労働行為上の使用者に当る。

4911 解散事業における使用者
N社は清算結了の登記済みであるが不当労働行為の申立てが継続している限りは、その処理のため存続しているとみるべきであり、親会社と共同して会社を再建し、被解雇組合員を就労させるか、あるいは親会社に就労させるかの方法により救済措置を講じなければならない。

5008 その他
会社は会社解散、全員解雇が不当労働行為であるとしても、企業解散自由の法理にてらし、原状回復の責任はないと主張するが経営継続の可能性もあり明らかに不当労働行為に当る場合でも、かかる法理を貫きうるとすれば比較的容易に営業の開始、閉鎖が行われる小企業では、労働組合結成→企業解散→解雇ということになり、組合の結成は無意味となる。かかる現象は現労働法制が予想しないことであり、企業解散自由論の絶対性をそのまま是認することはできない。

2130 雇用主でないことを理由
一時金、会社解散全員解雇に関する組合の団交申入れを、会社は当事者能力のないことを理由に、親会社は形式上の使用者でないとして団交に応じなかったことがそれぞれ不当労働行為とされた例。

業種・規模  水道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集59集138頁 
評釈等情報  労働法律旬報 1977年1月  919号 

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