労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三菱製紙 
事件番号  京都地労委昭和49年(不)第1号 
申立人  X1 ほか8名 
被申立人  三菱製紙 株式会社 
命令年月日  昭和51年 6月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  紙パ労連支持派である申立人らの人事考課を低く査定し格付け昇進について差別した事件で、45年に遡って格付け昇進の是正とバックペイ、誓約文の手交、掲示並びに社内報への掲載を命じ、不作為命令の請求については棄却した。 
命令主文  1. 被申立人は、申立人らに対し、それぞれ下記の日付をもって下記の職級・号俸に格付け昇進させるとともに、申立人らが下記の職級・号俸に格付けされていれば得たであろう諸給与相当額と現実に支払われた額との差額を支払わねばならない。
              記
(1)申立人X1、同X2、同X3
 昭和45年12月21日付 4級2号俸 昭和48年 1月21日付 6級1号俸 昭和46年 3月21日付 5級1号俸 昭和50年 1月21日付 6級2号俸 昭和47年 1月21日付 5級2号俸
(2)申立人X4、同X5
 昭和45年 1月21日付 4級1号俸 昭和48年 1月21日付 5級2号俸 昭和46年 3月21日付 5級1号俸 昭和50年 1月21日付 6級1号俸
(3)申立人X6、同X7
 昭和45年 1月21日付 4級1号俸 昭和49年 1月21日付 5級2号俸 昭和46年 3月21日付 5級1号俸
(4)申立人X8
 昭和45年 1月21日付 3級3号俸 昭和46年 3月21日付 5級1号俸 昭和46年 1月21日付 4級2号俸
(5)申立人X9
 昭和45年 1月21日付 3級1号俸 昭和47年 1月21日付 4級2号俸 昭和46年 1月21日付 3級2号俸 昭和48年 1月21日付 5級1号俸 昭和46年 3月21日付 4級1号俸
2. 被申立人は、下記の文書を申立人ら各人に提出するとともに、同内容の文章を縦1メートル、横 1.5メートルの模造紙に墨書し、被申立人京都工場内の従業員の見やすい場所に10日間掲示し、さらに被申立人京都工場が発行する社内報「朝日園」の最新号中の1ページを使用して、同内容の文章を掲載しなければならない。
              記
 当社は人事考課において貴殿らの組合活動を嫌悪し、貴殿らに対し人事考課を他の従業員と比べて低位に査定し、職級・号俸の昇進を遅らせ、賃金上不利益を与えたことは不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。
     昭和 年 月 日
 X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9 殿
          三菱製紙株式会社
            代表取締役 Y1
3. 申立人らのその余の請求を棄却する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
人事考課差別および昇進差別について、考課項目の具体的評価基準や運用実態が明らかでないこと、第1次、第2次の考課者は同じ組合員であっても申立人らと対立する立場の者であること、また、考課の結果が昇進基準に該当しないと主張するのみで同期入社者より著しく昇進を遅らせている理由の立証がなく、申立人らの要求する相対評価の判定基礎を明らかにしていないことなどからみて本件格付け昇進差別は不当労働行為である。

5201 継続する行為
組合内の上部団体指向派の組合活動を嫌悪しこれを排除しようとする会社の意図は長年にわたり一貫して変わることなくその実効をあげるための措置を継続実施してきたのが本件昇格の不利益扱いであり、かかる不当労働行為意図を長年にわたり同種の行為を反復累行することによって達成せんとする場合、その年々の不当労働行為はこれを継続する行為として把握するのでなければ不当労働行為救済制度の目的を没却することになる。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
格付け昇進の不利益に対する救済方法としては、各申立人昇進期とその等級・号俸を具体的に明確にした昇進とバックペイを命ずれば足り、昇進遅延の禁止まで命ずる必要はないとされた例。

業種・規模  パルプ・紙・紙加工品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集58集643頁 
評釈等情報   

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