労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  プリマハム 
事件番号  富山地労委昭和48年(不)第4号 
富山地労委昭和49年(不)第6号 
申立人  プリマハム労働組合 
被申立人  プリマハム 株式会社 
命令年月日  昭和51年 3月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  定期昇給及び夏期一時金考課査定の組合間差別、下級職制による別組合加入勧誘、飲食店での課長の言動、会社施設への落書きを理由とする譴責処分、組合分裂直後のチェック・オフの取扱、人事考課に関する支部団交を拒否した事件で、考課査定の是正と賃金差別の不作為及び組合支部との団交応諾並びに誓約文の手交とポスト・ノーティスを命じ、別組合加入勧誘、課長の言動、譴責処分、チェックオフの取扱い及び陳謝文の新聞掲載については棄却した。 
命令主文  〔判定事項44〕
1. 被申立人は、申立人北陸支部組合員に対して、昭和48年度に実施した定期昇給及び夏期一時金の考課査定について現行を下まわらず、申立人組合員外の平均と等しくなるよう再査定し、これによって生じた差額をすみやかに支払わなければならない。
 また、定期昇給及び夏期一時金の考課査定について、申立人組合員であることを理由として申立人組合員外と差別することにより、組合の運営に支配介入してはならない。
2. 被申立人は、高岡工場長が申立人北陸支部から人事考課に関する事項について、団体交渉の申入れを受けた場合、「本社・本部団体交渉事項」であることを理由として支部団体交渉を拒否してはならない。
3. 被申立人は、本命令交付の日から15日以内に下記誓約文を申立人に手交し、同誓約文を縦1m、横 1.5mの白紙いっぱいに墨書し、被申立人高岡工場正面入口の従業員の見やすいところに10日間掲示しなければならない。
              記
          誓  約  文
 当社は、昭和48年度の定期昇給及び夏期一時金の支給に関して、貴組合員を不利益取扱いするとともに、これによって貴組合の弱体化を図る支配介入を行ったことは不当労働行為でありました。
 今後このような不当労働行為を繰り返さないことを誓約します。
   昭和 年 月 日
         プリマハム株式会社
          代表取締役社長 Y1
   プリマハム労働組合
      中央執行委員長  X1 殿
4. 申立人のその余の請求は、これを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
申立組合員の定昇および夏期一時金査定結果は別組合員などに比べ低位に格付けされていると認めざるを得ないところ、会社は、差別が正当であるとの合理的理由を疎明していないこと、組合と対立する別組合の組合員が第一次査定者となっており、査定の公平を期待できないこと、会社はこの査定を利用したと認められる状況にあることなどから、本件低査定は不当労働行為である。

2301 人事事項
組合員の人事考課についての査定内容、査定手続等は団交事項になるものであり、支部は人事考課に関する実施状況・運営の実態等について交渉を申入れているのであるから、申入れ事項について誠意をもって交渉をなすべきで、かりに支部団交によって解決できなくとも、問題によっては本社・本部団交に移して解決を図るなど他に手段を講ずべきであり、事業部が人事考課に関する事項は全社統一的共通問題であるとして支部団交に一切応じられないとの態度を固執しているのは団交拒否にあたる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
別組合員である下級職制Z1らが申立組合員に対して組合脱退および別組合加入勧奨した言動は、会社がこれらを全然知らなかったこと、また後日同人らに注意を与えていること、組合分裂後における両組合が組合員獲得に努めていたことなどから組織拡大のためになされたもので不当労働行為とはならないと判断している。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合分裂に伴い、会社が新労から提出された組合員名簿に基づいてチェックオフしたことは、会社が組合員の異動に伴うチェックオフについて申立組合と話合いを行っていること、申立組合からの脱退届未提出のみを理由に従前どおりのチェックオフをせよという組合主張には合理性が認められないこと、従来日割計算によりチェックオフをした例もなく、単に給料計算日現在での所属労組別組合にチェックオフしたものであること等から、本件会社の行為は支配介入とはならない。

3410 職制上の地位にある者の言動
会社が利益代表者でない下級職制の言動について責任を負うためには、それが会社の指示に基づくものであるとか、会社の意を体して行われたものであるとか、あるいは会社がその効果を享受せんとの意図の下にそれを放置していることなどの要件が必要である。

5121 挙証・採証
夏期一時金の組合間差別について、組合が外形的に差別があるという事実を立証、疎明すれば十分であり、その場合使用者においてその差別された事実を正当化する合理的な理由を疎明しない限り、差別的取扱いについて組合の疎明がなされたものとして取扱わざるをえない。

1400 制裁処分
会社施設内のコンクリート通路に落書きをしたことを理由に、組合員を譴責処分としたことが不当労働行為ではないとされた例。

4415 賃金是正を命じた例
定昇及び夏期一時金の考課査定差別について現行を下まわらず、申立人組合員外の平均と等しくなるよう再査定を命じた例。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集58集417頁 
評釈等情報   

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