労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本旅行社 
事件番号  東京地労委昭和49年(不)第70号 
東京地労委昭和49年(不)第31号 
申立人  X1 外12名 
申立人  日本旅行社労働組合 
被申立人  ジェイ・テイ・エイ・インターナショナル・カンパニー・リミッテッド 
被申立人  ジェイ・テイ・エイ・ジャパン株式会社 
被申立人  ジャパン・トラベル・エイジェンシー・リミッテッド(日本旅行社株式会社) 
命令年月日  昭和51年 1月20日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  労働組合結成直後、A社が国内業務一切をB社に譲渡したのち東京事務所等を閉鎖し、申立人組合員らを解雇し、その後B社及びB社の国内業務一切を引継いだC社が申立人組合員らのみを採用しなかった事件で、三社あて退職金の支払及びポスト・ノーティスを、B社あて業務を再開し従業員を職場復帰させる場合に申立人組合員らを差別取扱いしてはならないことを、C社あて原職相当職復帰、バックペイを命じた。 
命令主文  1. 被申立人3社は共同して申立人X2、同X1、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8、同X9、同X10、同X11、同X12、同X13に対して昭和49年10月31日当時の被申立人ジャパン・トラベル・エイジェンシー・リミテッドにおける基本給に勤続年数を乗じた退職金を支払わなければならない。
2. 被申立人ジェイ・テイ・エイ・ジャパン株式会社は、被申立人ジェイ・テイ・エイ・インターナショナル・カンパニー・リミッテッドへ移籍した従業員を自社の業務再開のために復帰させる場合には、申立人らを同様に取扱わなければならない。
3. 被申立人ジェイ・テイ・エイ・インターナショナル・カンパニー・リミッテッドは、昭和49年11月 1日付をもって申立人らを自社の従業員として取扱い、同人らが被申立人ジャパン・トラベル・エイジェンシー・リミッテッドにおいて担当していた業務相当職に復帰させ、昭和50年 1月 1日以降の賃金相当額を支払わなければならない。
4. 被申立人3社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に下記のとおり明瞭に記載して、被申立人ジェイ・テイ・エイ・インターナショナル・カンパニー・リミッテッドの日本における事務所の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
           記
                  昭和 年 月 日
日本旅行社労働組合
 執行委員長 X2 殿
  ジャパン・トラベル・エイジェンシー・リミッテッド
      代表取締役 Y1
  ジェイ・テイ・エイ・ジャパン株式会社
      代表取締役 Y2
  ジェイ・テイ・エイ・インターナショナル・カンパニ
  ー・リミッテッド
      代表取締役 Y3
 ジャパン・トラベル・エイジェンシー・リミッテッドが、昭和49年 5月 2日から同月 8日にわたり貴組合の組合員X2ほか12名を解雇したことならびに、ジェイ・テイ・エイ・ジャパン株式会社およびジェイ・テイ・エイ・インターナショナル・カンパニー・リミッテッドが同社と一体となり上記貴組合員らを他の従業員と差別して取扱ったことは不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。当社らは今後このような行為をくり返えさないよう留意致します。
 (注、年、月、日は掲示した日を記載すること。) 
判定の要旨  4916 企業に影響力を持つ者
A、B、Cの3社は役職員の兼任、株主関係・営業の譲渡、従業員の移・転籍、本社事務所・営業所の同一その他人事、経理上の混同等の経緯、諸事実を総合すれば同一営業目的のもとに設立されたもので、互いに緊密不可分な関係にあり、全体として1個の存在と認められるから、労働問題も経済活動に随伴するものとして共同責任は免れず、実質的にもB、C社は、A社がなした一時的な解雇の状態を利用し、申立人らの採用を拒否したのであって、不当労働行為の状態を事後的に維持し、これを承継的に加担したというべきである。

0500 勤務成績不良
勤務成績不良を理由に組合員らを解雇したことが不当労働行為とされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
事業所を閉鎖したA社の日本国内における業務一切を引きついだBおよびC社が組合員のみを採用しなかったことが支配介入とされた例。

3700 使用者の認識・嫌悪
勤務成績不良を理由に組合員を解雇した時期が組合結成通知前であったが、諸般の事実から会社はすでにその動きを知っていたものと推認された例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
日本国内の業務を廃止したA社が申立人らの解雇を撤回し賃金の一部を支払っても、A社の他の従業員と同様A社の業務を引きついだBおよびC社に勤務できない以上未だ原状回復がなされたとはいえないとされた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
本件解雇の救済方法として、国内業務を閉鎖中のA社には申立人らに退職金名義の金員の支払いを、休業中のB社には業務を再開しA社の元従業員を採用する際には同様に申立人らの採用を、営業中のC社にはA社の元従業員と同様に申立人らを採用し、A社における職務相当職への就労および賃金が打切りになった時期からのバックペイを、A、B、C3社には退職金名義の支払いにつき共同の責任およびポスト・ノーチィスを命じた例。

業種・規模  運輸に附帯するサービス業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集58集156頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和51年 3月20日  907号 (27巻 7号)  23頁 

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