労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  信州名鉄運輸 
事件番号  長野地労委昭和48年(不)第8号 
申立人  全国自動車運輸労働組合 
申立人  全自運信州名鉄運輸支部 
被申立人  信州名鉄運輸 株式会社 
命令年月日  昭和51年 1月14日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  長距離路線運行の乗組制の決定に際し、支部組合員を協議から除外し、支部組合員について申立人支部と別組合員を同乗させないこと、また配車、組合掲示板設置について組合間差別をし、これらの問題について誠意をもって交渉に応じなかった事件で、支部組合員が運行できなくなる日が生ずるような乗組制を組んではならないこと、運行回数の減少にともなう手当の減少額分の補填、配車の組合間差別の禁止別組合と同一の大きさの掲示板の設置及び誓約書の手交と掲示を命じた。 
命令主文  1. 被申立人は、伊那営業所において長距離路線運行に従事する申立人支部組合員に対し、乗組制についての協議から除外し、信州名鉄運輸労働組合の組合員との同乗を拒否して、「おろし」の生ずるような乗組制を組んではならない。
2. 被申立人は、伊那営業所において長距離路線運行に従事する申立人支部組合員に対し、昭和46年10月からX1が退社するまでの間、「おろし」により生じた運行回数の減少にともなう第1運行手当の減少額を、各年の東京線の第1運行手当を基礎に算出し、支払わなければならない。なお、運行回数の算定にあたっては、概ね1か月1人平均1運行少ないことを基準に、被申立人会社の運行実績に関する資料を参考に、当事者間で協議し、決定しなければならない。
3. 被申立人は、伊那営業所において長距離路線運行に従事する申立人支部組合員に対し、信州名鉄運輸労働組合の組合員に比較し、年式が古く性能の低下した車両を配車してはならない。また、11トン車への乗務について、被申立人は、申立人支部と誠意をもって協議し、決定しなければならない。
4. 被申立人は、伊那及び松本営業所の従業員休憩室に、申立人支部が信州名鉄運輸労働組合と同一の大きさの掲示板を設置する場所を貸与しなければならない。
5. 被申立人は、本命令交付の日から5日以内に、下記の誓約書を申立人支部に手交するとともに、同文を縦1メートル、横1.5 メートルの白紙に墨書して、被申立人会社の伊那、豊科及び材本の各営業所の見やすい場所に、それぞれ7日間掲示しなければならない。
            記
        誓  約  書
当社は、路線乗務、配車及び掲示板の設置について、貴組合信州名鉄運輸支部と誠意をもって交渉を行わず、また、同組合員を差別扱いしました。これらの行為は、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を行わないことを誓約します。
以上、長野県地方労働委員会の命令によって掲示します。
     昭和 年 月 日
 全国自動車運輸労働組合
     中央執行委員長 X2 殿
 全自運信州名鉄運輸支部
     執行委員長   X3 殿
           信州名鉄運輸株式会社
             代表取締役 Y1 
判定の要旨  1302 就業上の差別
乗組制は長距離路線運行に従事する従業員にとっては最も基本的な労働条件であるにもかかわらず、会社は、その話合いから支部組合員に除外し、また、別組合員との同乗を認めなかったことは、着発等の合理化に反対する支部を嫌悪し、その影響が別組合内に及ぶのを妨ぐためになしたものであり、結果として支部組合員の運行回数、ひいては運行手当の減少をももたらせた不当労働行為である。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が支部の掲示板設置要求に応じないのは、支部を別組合の分派であるとしてその存在を否認し、団交にも誠意を以て応じず、乗車及び車両差別を行っていることを併せ考えると、支部を否認し、その勢力が拡大することを防ぐためになした支配介入である。

1302 就業上の差別
組合員に対し、古い車輛のみを配車したことが不当労働行為とされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
長距離路線運行において、乗務体制に伴い生ずる「おろし」は現在なくなっているが、過去の不当労働行為により生じた不利益は残存しており、また、被解雇者らが、裁判の結果、原職に復帰するような場合には、再び「おろし」が生ずる可能性があるので被救済利益が残存しているとされた例。

4617 その他
複数組合併存の下で組合員数の多少により、掲示板の大きさに差をつけることには、合理的な理由が認められないとして別労組と同一の大きさの掲示板を設置する場所を貸与することを命じた例。

4820 単一組織の支部・分会等
申立人支部の当事者適格について、実体審理をしていないとの会社主張が排斥された例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集58集103頁 
評釈等情報   

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