労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  港相互タクシー 
事件番号  大阪地労委昭和45年(不)第89号 
大阪地労委昭和46年(不)第2号 
大阪地労委昭和46年(不)第58号 
申立人  港地区協議会港相互タクシー労働組合 
被申立人  相互タクシー 株式会社 
被申立人  港相互タクシー 株式会社 清算人Y1 
命令年月日  昭和50年12月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  親会社が組合を誹謗するようなビラを配布したこと、会社が組合員4名を解雇し、さらに事業廃止を理由に同人らを予備的解雇した事件で、親会社に対して原職相当職復帰、親会社と会社清算人あてバック・ペイ、ポスト・ノーティスを命じ、親会社のビラ配布については棄却した。 
命令主文  主         文
1 被申立人らは、申立人組合の組合員らに対し、次の措置を含め、昭和46年10月10日以降同 人らが解雇されなかったと同様の状態に回復させなければならない。
 (1)被申立人相互タクシー株式会社は、同人らを港相互タクシー株式会社の解散前の原職相    当職をもって就労させること
 (2)被申立人らは、同人らが昭和46年10月10日以降原職相当職に就労するまでの間、同人らが   受けるはずであった賃金相当額(既に支払った金額を除き、その未払金に対する年分の割   合による金員を含む)を支払うこと
2 被申立人らは、それぞれ縦1m×横2mの白板木板に下記の通り明瞭に墨書して、速やかに 被申立人らのそれぞれ正門付近の申立人組合員らの見やすい場所に1週間掲示しなければな らない。
                記
                          年  月  日
   申立人組合代表者あて
               港相互タクシー株式会社
                代 表 者 名
               相互タクシー株式会社
                代 表 者 名
  港相互タクシー株式会社及び相互タクシー株式会社は貴組合及び貴組合の組合員らに対  し、下記の行為を行いましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号及び第3号に該当 する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝します。
              記
  1港相互タクシー株式会社の事業廃止許可申請を行ったこと
  2昭和46年10月10日、貴組合の組合員4名に対し解雇通告を行ったこと
  3昭和48年10月22日、貴組合の組合員4名に対し、予備的解雇を通告したこと
  以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。
3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1107 その他
1800 会社解散・事業閉鎖
組合員4名に対する解雇理由として会社があげる多額の債務の負担と会社の再建不能については、その負債とは親会社からのものであり、両社が単一企業体であると認められることから、それは単に名目上のものに過ぎず、両社の反組合感情を考えると、本件解雇は両社が意志相通じてなした不当労働行為である。

1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3105 事業廃止、工場移転・売却
会社の事業廃止許可申請は、車両の車検切れにより、稼働車両が全くなかったためとしているが車検切れについて会社は、全面的に資金依存している親会社に申出ず、親会社はそれを知りながら何らの措置をも講じなかったためであり、結局両社の合同役員会において既に決定されていた整理倒産の意向がそのまま踏襲された結果によるものと解するほかなく、両社が意思相通じて組合を壊滅することを目的としてなされたものである。

1107 その他
1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社の事業廃止許可申請が組合の壊滅を目的としてなされたものと認められる以上、その申請が許可されたことを理由に、組合員4名に対し予備的解雇を通告したことも不当労働行為である。

2613 使用者と取引関係者の言動
2620 反組合的言動
3421 使用者と取引関係者の言動
親会社が同社従業員に配布したビラの内容には多少不穏な部分もあるが、組合の同社社屋周辺における抗議行動への対抗手段としてなされたものであることを考えると、これをもって直ちに組合を誹謗中傷したものとは認められない。

4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
5008 その他
会社の事業廃止は許可され、事業の再開は事実上困難であるので会社に原職復帰を命じることはできないが、親会社は会社の実質上の経営者として会社に代って組合員らを解雇がなかったと同様の状態に復帰させるべき責任を負うものである。

4911 解散事業における使用者
4915 親会社
解散会社M社とその親会社S社は、形式上は別法人であるが、役員の決定、資金面での依存、労働条件、車両の管理等の承認など経営の実権はS社にあり、M社はその一営業部門に過ぎず、S社はM社の従業員についても使用者としての地位にあるといわざるを得ない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集57集421頁 
評釈等情報   

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