概要情報
事件名 |
山口放送 |
事件番号 |
山口地労委昭和48年(不)第2号
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申立人 |
民放労連山口放送労働組合 |
申立人 |
民放労連中四国地方連合会 |
申立人 |
日本民間放送労働組合連合会 |
被申立人 |
山口放送 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年12月16日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
職能給体系導入に基づく昇格・昇給・一時金査定について組合員と非組合員との間に差別扱いした事件で、基準を示して職級号棒の格付是正、賃金および一時金の差額支給及び査定配分額についての再査定にあたって従来の査定差を下回ってはならないことを命じ、陳謝文の交付と掲示については棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人組合員の職級号棒を、昭和43年5月以降の申立人組合員の年齢に対応 する下記を基準として格付すること。 格付に際しては、申立人組合員の過半数が基準以上にあるようにすること。 ただし、従来の格付を下回ってはならない。 記 29歳が6職級、33歳が5職級、36歳が4職級とし、4職級の11号棒を起点とし、37歳以上 は1歳ごとに4号棒ずつ加算し、35歳以下は1歳ごとに4号棒ずつ減算する。 2 被申立人は、昭和43年5月以降昭和49年2月20日までに支払われた申立人組合員の賃金 と、上記格付によって生ずる賃金との間に差額を生じた場合は、その差額を支払わなければ ならない。 3 被申立人は、昭和43年冬以降昭和48年冬までの一時金について、主文1の格付によって計 算された額と、既に支払われた額との間に差額を生じた場合は、その差額を支払わなければ ならない。 なお、査定配分額については、申立人組合員の評定平均が、申立人組合員以外の社員(4 職級以下)の評定平均と等しくなるように再査定のうえ、差額を生じた場合はその差額を支 払わなければならない。ただし、再査定に当たっては、申立人組合員各人の従来の査定点を 下回ってはならない。 4 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
2901 組合無視
申立人組合員は昇給、昇格、一時金について、職能給体系導入後一貫して低査定を受け、非組合員と比較して格差が拡大していることについて会社の主張はいずれも肯認できず、他方、評定者は組合員に対立的感情を抱いていたと推認され、評定方法も多分に評定者の恣意の入る余地のあること、会社が一貫して組合を嫌悪していたこと、別組合幹部や組合脱退者等は優遇されていることなどからして、本件差別は、会社が組合の弱体化を意図し一貫してなした支配介入である。
5121 挙証・採証
会社は組合が提出した非組合員の賃金データーは殆んどすべてが事実に反するか、不正確であると主張するが、会社が賃金台帳の提出を拒否したこと、本件申立後給料関係事務から組合員がはずされた事実からして組合提出の賃金データを証拠資料とすることに支障はない。
5201 継続する行為
職能給体系導入以来の申立人組合員に対する昇給、昇格、一時金差別は、会社の一貫した差別意思に基づくもので、差別是正の不作為が継続していることが認められ、かかる状況のもとで、半年毎に繰り返される一貫した時間的に連続した差別査定行為により昇格上の差別をうけ、その格付を基礎に昇給差別、一時金差別が行われ、長年の累積を経て作為あるいは不作為の昇格差別が完了するものであって、これは「継続する行為」と解するのを相当とする。
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業種・規模 |
放送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集57集398頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和51年7月15日 250号 25頁 
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