労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  山下建材 
事件番号  山形地労委昭和50年(不)第3号 
申立人  山下建材労働組合 
被申立人  株式会社 山下建材 
命令年月日  昭和50年12月 8日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合結成直後に会社が、試用期間中の組合員に組合脱退を強要したこと、脱退強要を拒否した女子組合員を配転して雑用に従事せしめたこと、技術主任である組合執行委員に単純業務を命じたこと、組合副委員長に対するいやがらせ等をめぐる事件で、組合脱退強要、配転、嫌がらせ等の禁止及びポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  主        文
1 被申立人は、申立人組合の組合員に対し組合からの脱退を強要したり、職場の配置転換や いやがらせなど不利益な取扱いをして、組合の運営に介入してはならない。
2 被申立人は、下記文書を縦1m×横1.3mの板面に明瞭に墨書して会社正面入口の見易い場所 に掲示し、10日間存置しなければならない。
                    記
  会社は、貴組合の組合員に対し組合からの脱退を強要したり、配転や嫌がらせなど不利益 な取扱をしたことを認め今後かかる不当労働行為をしないことを誓約します。
                              昭和 年 月 日
                      株式会社 山下建材
                       代表取締役  Y1
   山下建材労働組合
    執行委員長  X1 殿
3 申立人のその余の請求はこれを棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
2621 個別的示唆・説得・非難等
2625 非組合員化の言動
組合員の範囲は、本来組合自身が決定すべきことであり、会社が経理担当の女子組合員がその職務の内容から非組合員の範囲にあると判断した場合には、まず組合に折衝すべきところ、本人に直接組合脱退を慫慂することは支配介入にあたり、同人の工場への配転は、組合脱退を拒否したことによることは明らかであり、配転後雑用等に使われているのであるから、不利益扱いと認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社部長が試用期間中の者に労働契約書の提出を求めた際、組合脱退を強要したり、脱退届の書き方を指導したり、組合脱退か会社退職か二者択一を求めたことは組合に対する明らかな支配介入である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
主任らが組合員X2宅を訪問し、組合脱退をすすめたことは、同人らが会社と通謀した事実も、会社が同人らの行動を黙認していた事実もなく、会社の利益代表者とも認め難いので会社の行為とみなすことはできない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
会社部長の組合執行委員に対する言動は、他に組合切崩しが行なわれている最中のことであり、個人的な話しと看過するわけにはいかず、話の内容は同人個人の将来に対する不安をかりたて組合活動を阻止しようとしたもので、支配介入にあたる。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
社長が技術主任である組合執行委員X3に対して単純業務を命じたことは、このような業務命令を出さなければならぬ特段の理由が認められないことからみて、同人の組合活動に対するいやがらせであったと認められる。

業種・規模  窯業・土石製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集57集338頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]