労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  マックスファクター 
事件番号  東京地労委昭和49年(不)第3号 
申立人  合成化学産業労働組合連合マックスファクター労働組合 
被申立人  マックスファクター 株式会社 
被申立人  マックスファクターアンドカンパニー 日本支社 
命令年月日  昭和50年12月 2日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員選挙への介入、上部団体、申立人組合からの脱退勧奨、社員会と労働条件について協議決定、チェック・オフの中止、組合の中心的人物の配転等をめぐる事件で、組合役員選挙介入及び脱退勧奨行為の禁止、社員会との労働条件取決めの禁止及びポスト・ノーティス等を命じ、その他の申立ては棄却した。 
命令主文  主         文
1 被申立人マックスファクター株式会社およびマックスファクターアンドカンパニー日本支 社は、申立人合成化学産業労働組合連合マックスファクター労働組合の役員選挙に介入し、 または同組合員に対して合成化学産業労働組合もしくは申立人組合からの脱退を慫慂しては ならない。
2 被申立人両会社は、今後マックスファクター社員会との間において賃金、労働時間その他 労働条件について、折衝し、取決めをしてはならない。
3 被申立人両会社は、申立人組合との間のチェック・オフ協定を履行しなければならない。
4 被申立人マックスファクター株式会社は、申立人組合員X1に対する昭和49年1月9日付 配置転換命令を撤回し、同人を原職に復帰させなければならない。
5 被申立人両会社は、本命令書受領後1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル (新聞紙2頁大)の板に、下記文言を明瞭に書き、被申立人マックスファクター株式会社本 社正面玄関および滋賀工場正門の従業員の見易い場所に、10日間掲示しなければならない。
            記
               昭和  年  月  日
 合成化学産業労働組合連合マックスファクター労働組合
  中央執行委員長 X2殿
         マックスファクター株式会社
          代表取締役 Y1
         マックスファクターアンドカンパニー日本支社
          日本における代表者日本支社長 Y1
 当社が、貴組合東京支部の49年度役員選挙に介入したこと、貴組合員に対し、合成化学産業労働組合連合または貴組合からの脱退を慫慂したこと、マックスファクター社員会との間で賃金、労働時間その他労働条件について協議したり、取決めたりしたこと、貴組合員の組合費のチェックオフを中止したこと、貴組合員X1氏を滋賀工場仕上課から東京本社購買部資材課へ配置転換したことは、いずれも不当労働行為であると、東京都地方労働委員会で認定されました。
 今後は同種の方法で貴組合の運営に介入いたしません。
 右同地方労働委員会の命令により掲示します。
6 被申立人両会社は、前項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければ ならない。
7 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社は、技術者であり工場支部組合の中心的人物を遠隔地の本社に配転した理由として同人が最適者であるとかエネルギー危機に対処するため資材課強化のためであるとか主張するがいずれも十分な裏付けはなく、他方、配転に先立ち会社は同人らに執ように組合脱退を慫慂していること、同人の配転後、所属課の組合員が半減していること等から、本件配転は同支部組合活動の一拠点であった所属課の係長である同人の影響力を絶ち切り、同課組合員を脱退させるために行ったものと解するのが相当である。

2501 親睦団体の利用
社員会は実質的には管理職が主要な役割を果している団体であり、社員会の独自の存在理由がなく、会社の組合員に対する脱退慫慂と軌を一にして結成されたことなどからみて、その主要な目的が会社の組合対策として、会社の意を受けて結成されたものと認められ、会社がそのような団体と労働条件について交渉することは、申立人組合の団交機能を侵害するものである。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
3500 処分の時期
組合支部役員選挙の際、会社常務が組合役員立候補者等に対し立候補辞退を勧奨したことは本社内の組合事務所問題での残業拒否闘争が行なわれ、労使関係が荒れはじめていた時期になされたこと、この直後から大がかりな組合脱退慫慂が行なわれていること等からみて先輩の後輩に対する好意的助言とはみられず組合運営に対する支配介入である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社はエネルギー危機等に対処するため管理職層と一般従業員の意思疎通を図るよう指示したにすぎないと主張するが、会社役員および職制の組合員に対する言動は、行為者および説得の内容からみて、上部団体、又は組合脱退を勧奨した支配介入である。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合脱退者からチェック・オフ中止の申出を受けた後、組合と何らの協議も行なわず脱退者以外の組合員についてまでチェック・オフを中止し、しかも協約所定の改廃手続を経なかったこと等からみて本件チェック・オフの中止は、多数の脱退者が出たことに藉口して、組合運営を経済面からも困難にし、組合を弱体化しようとしてなした支配介入である。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集57集277頁 
評釈等情報  労働判例 昭和51年4月15日  244号 66頁 

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