労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  クロイドン 
事件番号  福島地労委昭和49年(不)第20号 
申立人  クロイドン喜多方労働組合 
被申立人  クロイドン 株式会社 
命令年月日  昭和50年11月 8日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  受注減少を理由とする組合幹部ら7名の指名解雇、組合脱退勧奨、組合幹部誹謗、組合役員の団交出席拒否などをめぐる事件で、7名の解雇取消、原職復帰、バックペイ、組合脱退勧奨、誹謗・団交出席拒否などの支配介入の禁止、文書の手交を命じた。 
命令主文  主         文
1 被申立人会社は、昭和49年7月19日付けで行なった申立人組合の組合員X1、同X2、同 X3、同X4の各即時解雇、および同年8月19日付けで予告して行なった組合員X5、同X 6、同X7に対する解雇をそれぞれ取り消して原職相当職に復帰させ、復帰までの間に受け るべきはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人会社は、会社役員ならびにその職制をして、申立人組合およびその役員ならびに 組合員に対して組合脱退勧誘、誹謗、団交出席拒否などの支配介入をしてはならない。
3 被申立人会社は、本命令書交付の日から7日以内に下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
              記
1 会社が昭和49年7月19日付けで行なった貴組合の組合員X1、同X2、同X3、同X4の各即時解雇、および同年8月19日付けで予告して行なった組合員X5、同X6、同X7に対する解雇は、いずれも労働組合の弱体化を企図してなした不当労働行為であったことを認めここに陳謝するとともに、これらの解雇を撤回いたします。
2 会社は、貴組合ならびに貴組合の役員ならびに組合員に対して行なった、会社役員ならびにその職制による組合脱退勧誘、誹謗、団交出席拒否などが不当労働行為であったことを認め、これを陳謝するとともに、今後このような支配介入を行なわないことを確約いたします。
   昭和  年  月  日
   クロイドン喜多方労働組合
    委員長  X1 殿
              クロイドン株式会社
               取締役社長  Y1
4 申立人のその余の申立は棄却する。 
判定の要旨  2000 人員整理
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
受注減少等を理由になされた申立人組合幹部X8ら10名に対する本件整理解雇は、人員整理を必要とする程の経営が急迫状態にあったとは認められないこと、人事整理を回避するための最大限の企業努力がつくされたとはみられないこと、希望退職募集をせずにいきなり指名解雇を行っていること、整理基準の設定・運用が適正になされたとは認められないこと、団交を拒否していること等と会社が組合の活発な活動を嫌悪していたことからみて、受注減少発生を機に、緊急性に藉口してなした不当労働行為である。

2621 個別的示唆・説得・非難等
人員整理に反対する組合に対抗し、人員整理が実施できない時は工場閉鎖も止むを得ず、人員整理について目下人選中であるなどの内容の文書ならびにハガキを全従業員に郵送したことは、その直後に組合員の大量脱退があったことなどからも組合員に大きな不安と動揺を与え、組合の団結に至大な影響を及ぼしたことが推認され、かかる行為は組合に対する支配介入にあたる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
工場長が発表した社長伝言の中で、非協力者により他の者が犠牲となっていると述べていることは、組合幹部に対する誹謗であり、支配介入にあたる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
工場閉鎖を示唆した文書等の郵送をうけたことにより不安動揺を来した組合員らが、組合脱退、会社への協力の意向を本社に伝えるようY2課長に要請したところ、これをうけてなした課長の言動は、組合を脱退し会社に協力することによって工場閉鎖回避の可能性があることを示唆し、脱退意思を決定的ならしめたものとして支配介入にあたる。

3106 その他の行為
会社の最大の得意先会社へストライキの事情説明に赴いた際の書記長の言動を理由に、同人の団交出席を拒否したことは、通常労働争議時において得意先会社に事情を説明し、理解を要請することは一般的に行われていること、組合側交渉員は本来組合がきめるべきものであることから、組合に対する支配介入に該当する。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集57集198頁 
評釈等情報   

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