概要情報
事件名 |
小野田化学工業 |
事件番号 |
福岡地労委昭和49年(不)第25号
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申立人 |
X1 外21名 |
被申立人 |
小野田化学工業 株式会社門司工場 |
被申立人 |
小野田化学工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年 9月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
労委へ出頭した会社申請証人については出張扱いとし、組合申請証人については組合出張扱いとするなどの差別取扱いをした事件で、会社申請証人でないこと、あるいは証人が係争中の当事者であることを理由とする差別扱いの禁止、出張扱いとして未払賃金および出張旅費・日当の支給を命じ、陳謝文の掲示・掲載の請求は棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人らは労働組合法第27条に基づいて労働委員会から出頭を命ぜられた労働者に対し て、被申立人側申請の証人でないことを理由として、勤怠取扱い、その他一切の差別をして はならない。 2 被申立人らは証人として出頭を命ぜられた労働者が、会社を被申立人として係争中の当事 者であることを理由として差別してはならない。 3 被申立人らは、申立人らが地方労働委員会の命令による審問のため出頭した別表記載の取 扱いにつき、いづれもこれを出張扱いとし、右出頭日時に対する未払賃金を支払い、会社就 業規則・旅費規定に基づき、出張旅費・日当を支給せねばならない。 4 申立人らのその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0125 組織・職場活動(含証人の行為)
労委が審問のために出頭を命じた証人は、労使いずれの申請によるものであっても、会社業務の遂行行為又は組合活動と認めることはできず、労組法27条により課せられた公の義務であり、労基法第7条にいういわゆる公の職務に該当するものと解すべきである。
1203 その他給与決定上の取扱い
3300 不当労働行為とされた例
会社側申請証人については出張扱いとし、組合側申請証人については組合活動として、組合出張扱いとしたことには何ら合理性がなく、組合員であることによる不利益扱いであり、また当該証人が当事者本人である場合には、労組法7条4号に該当する不利益扱いである。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、組合側申請証人の勤怠取扱い上の不利益扱いについての救済申立は、元来、会社に対し請求し得べき権利でないと主張するが、本件は組合側申請証人が会社側申請証人と勤怠取扱い上不当に差別、不利益扱いを受けたとの申立てをしたものであるからこれを採用することはできない。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
組合員個人が証人として労委へ出頭することを、組合活動と認めるべきでないとしても、勤怠取扱いに関して、会社申請の証人であるかないかにより差別が存し、それが組合員であるが故の差別扱いと認め得る以上、これの救済を求め得ることは多言を要しない。
5200 除斥期間
会社は、本件救済申立ては会社側申請証人に対する勤怠取扱いの時から1年を経過しているとして却下を主張するが、本件申立て理由は組合側証人が会社側証人と比べて不利益に扱われたとして救済を求めるものであり、同取扱いがなされたのは申立てより1年以内であるので、会社主張には理由がない。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集56集365頁 |
評釈等情報 |
 
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