概要情報
事件名 |
昭和市丸交通 |
事件番号 |
鹿児島地労委昭和49年(不)第3号
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申立人 |
昭和市丸交通労働組合 |
被申立人 |
昭和市丸交通 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年 9月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社幹部や社外人が組合員に対し組合脱退を勧奨した事件で、組合脱退工作の禁止及び当該4営業所でのポスト・ノーティスを命じ、全事業所への陳謝文の掲示及び新聞への掲載は棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人昭和市丸交通株式会社は、申立人昭和市丸交通労働組合に対し、組合員の脱退工 作を行うなどしてその運営を支配し、若しくはこれに介入してはならない。 2 被申立人昭和市丸交通株式会社は、本命令交付の日から7日以内に、下記内容の陳謝文を 縦0.9m×横1.8m以上の白紙に墨書し、原良営業所、玉里営業所、朝日通営業所および宇宿 営業所内の見易い場所に7日間掲示しなければならない。 記 陳 謝 文 昭和市丸交通株式会社は、昭和市丸交通労働組合の運営に支配介入し、その自主的な組合 活動を妨害する言動を行ったことの非を認め、今後は一切この種の行為を繰り返さないこと を誓約します。 昭和 年 月 日 昭和市丸交通労働組合 執行委員長 X1 殿 昭和市丸交通株式会社 代表取締役社長 Y1 3 申立人のその余の請求を棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
営業部長Y2および組合員2名が組合員X2とX3に組合脱退届を書かせたか否かは判断できないが、3名が一緒に寮を訪れた際に組合脱退の話が出ており、その後3通の脱退届が組合に届けられていたこと、その場所にY2が終始同席していたこと等から見て、3人の間にX2・X3の脱退に関する意思疎通があったものと判断でき、会社の不当労働行為意思を推認せざるを得ない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
営業所長が組合員に組合脱退届を書かせたこと、所長Y3が組合脱退勧奨のために組合員を迎えに行くタクシー料金を会社費用にしておくよう発言したこと、組合員が本社に呼ばれて社長に脱退を説得されていたこと等から、脱退工作の事実は明白であり、組合に対する支配介入である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
副社長Y4を元暴力団員と記載した組合ビラについて、同人が抗議しようとすることはやむを得ないことであり、抗議のため社長以下全幹部が書記局に赴いたことだけで直ちに組合に威圧を与えたということはできないが、書記局における同人の発言内容には、通常考えられないような威圧的なものがあり、組合の弱体化をねらった会社の意図が働いていたと推認される。
2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社は社長らが組合員X4の勤務状態について高校時代の先輩であるZ1に説得を依頼したものであると主張するが、Z1の発言は先輩、後輩という説得の範囲を越えた組合脱退の話であったこと、社長らとZ1の行動経路からみて組合脱退工作についてZ1と会社との間に意思の疎通があったと認められ、さらに、説得が通常考えられない時刻に行なわれていること等からみて、社長らがZ1を使って組合の脱退工作を図り、組合の弱体化を意図した支配介入である。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集56集314頁 |
評釈等情報 |
 
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