概要情報
事件名 |
大阪府社会保険診療報酬支払基金 |
事件番号 |
大阪地労委昭和49年(不)第1号
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申立人 |
全国社会保険診療報酬支払基金労働組合大阪支部 |
被申立人 |
大阪府社会保険診療報酬支払基金 |
命令年月日 |
昭和50年 9月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
基金が組合が貼付しようとするステッカーの内容を事前審査しようとしたり別組合と貼付枚数に差を設けたり、貼付についての許可を留保・不許可あるいは貼付期間を限定したり、貼付したステッカーを撤去した事件で、これらの行為の禁止および陳謝文の手交を命じ、貼付場所、被貼付物件の制限、ステッカーの大きさ等の差別、ポスト・ノーティスについては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人に対するステッカー貼付許可に際して、次の行為をしてはならない。 (1)申立人が貼付しようとするステッカー又はその記載文言を明示した文書を提出させて事 前審査を行うこと (2)貼付枚数について、社会保険診療報酬支払基金労働組合大阪支部との間に差を設けるこ と 2 被申立人は、申立人が賃上げ、期末手当等の闘争に際して、当該闘争に関するステッカー の貼付許可申請をした場合、貼付時期が尚早であるとして許可を留保したり、不許可にした り、あるいは貼付期間を限定したりしてはならい。 3 被申立人は、申立人が被申立人の許可を得て貼付したステッカーを、その記載内容を理由 に一方的に撤去してはならない。 4 被申立人は、申立人に対して、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 申立人 代表者あて 被申立人 代表者名 当基金が、貴組合の貼付したステッカーを、その記載内容を理由に一方的に撤去したこと は、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であることを認め陳謝しますととも に、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。 5 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
3020 組合活動への制約
ステッカーの貼付許可に際して、基金が行おうとする記載内容についての事前審査は、組合の自主的運営に不当に干渉するのみならず、管理規定の当該条項は、記載内容の要旨の明示で足りるものと解されその旨労使間で合意がなされていることなどの諸事情を併せ考えると、記載内容の事前審査を行うことに固執する基金の態度は組合の運営に介入するものである。
3020 組合活動への制約
基金が賃上げや期末手当闘争中のステッカー貼付の許可申請に対し、貼付の時期が尚早として許可留保あるいは不許可にしたことは合理性を欠くし、また当初は妥結時までの貼付を認め、それにより業務上特段の支障がなかったものであり、更に別組合には数カ月間にわたり許可していること等からその措置は妥当性を欠き、支配介入である。
3020 組合活動への制約
基金が認めているステッカーの貼付場所及び被貼付物件は、極度に限定されたものではなく、ステッカー貼付の目的が不当に制限されているとは認められない。
3020 組合活動への制約
ステッカーの貼付は、自己の組合員のみならず、広く従業員に対して教宣することをおもな目的とするものであるから、組合員数によって許可する貼付枚数を決定することは合理性を欠くものであり、組合員数によって別組合と貼付枚数に差をつけたことは特定組合の運営に不当に介入するものである。
3020 組合活動への制約
組合は、ステッカーの貼付枚数のほか、大きさ等の諸条件についても別組合と差別をしないことの救済を求めているが、本件ステッカー貼付をめぐって別組合と取扱いを異にしているのは貼付枚数についてのみであるので、組合の請求は認められない。
3020 組合活動への制約
基金が組合のステッカーを撤去した理由として無許可ないし許可条件に違反していると主張するが、許可条件自体が不当なものであること、ステッカーの内容にやや不穏当な表現があっても全体として殊更事実をわい曲したものとも経営秩序を乱し、経営活動に支障が生じたとも認められないことから、本件基金の撤去行為は支配介入にあたる。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集56集302頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和50年12月1日 235号 92頁 
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