労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  秩父女子高等学校 
事件番号  埼玉地労委昭和49年(不)第3号 
申立人  秩父女子高等学校教職員労働組合 
被申立人  学校法人 秩父女子高等学校 
命令年月日  昭和50年 8月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  放課後の教室の使用等について非組合員と差別したり、組合を無視して就業規則等を作成したり、組合役員ら4名を勤務成績不良等を理由に、同2名を非常勤講師の任期切れを理由にそれぞれ解雇した事件で、教室使用についての差別、一方的就業規則等の作成、組合員を退職に追込むことなどの行為の禁止、被解雇者全員の原職復帰、バック・ペイを命じ、非常勤講師の辞令交付、コーチ解任、団交遅延等については棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人学校は、申立人組合または組合員に対し教室の使用等につき非組合員と差別した り、組合の意見を無視して就業規則等を作成したり、組合員に対し教育者としての自身を失 わしめる言動をして退職に追い込んだりして組合の自主的運営を妨害してはならない。
2 被申立人学校は、組合員X1、X2、X3、X4に対する解雇通告及び組合員X5、X6 に対する任期終了の通告を撤回し、各人をそれぞれ原職に復帰せしめ、且つ各通告より原職 に復帰するまでの間における得べかりし賃金相当額を支払わなければならない。
3 その余の申立は棄却する。 
判定の要旨  0700 職場規律違反
組合員4名に対する即時解雇事由である出勤簿に押印しないこと、勤務時間中の無断外出、朝礼欠席等6項目その他審問で主張した理由はいずれも各職員に対し責任を問うことのできない性格のものであり、結局、組合の正当な運営を阻害するため組合員を解雇した不利益扱いである。

1106 契約更新拒否
組合副委員長ら2名を非常勤講師として採用するに当り任期を定めておらず、また、講師は特別の事情がない限り継続してその職に止まるのが一般的であると認められるところ、当人らが教員資格のないことは特別事情とは認められず、その他の理由もないので、結局、本件は学校が一方的に決定した任期切れを根拠にして同人らを職員たる地位より排除せしめんとした不利益扱いである。

1603 組合活動上の不利益
2901 組合無視
放課後の教室使用につき、非組合員には許しながら、組合員には特別の理由なくこれを許可しなかったのは不利益扱いである。

2245 引き延ばし
組合の48年8月11日付団交申入れに対し、学校がこれに応じたのは同年9月20日であって、確かに第一回の期日の引延しは学校の責任と認められるが、その後団交は順次行われているのであるから、組合の主張する不誠実団交であるとは認められない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
学校の理事長代行の組合書記長に対する、組合に入れば辞めさせられる等の言動、同人の担任する生徒の父兄に対して同人を誹謗する等の言動は、同人の教育者としてのプライドを傷つけ教育意慾を喪失せしめ遂に退職するに至らしめたもので組合に対する支配介入である。

1602 精神・生活上の不利益
3900 「不利益の範囲」
組合副委員長ら2名に対する非常勤講師の辞令交付は差別扱いであると主張するが、職員連名で学校に対し提出した要望事項にも「非常勤講師」の名称を用いており、学校がかかる辞令の記載をしたことを以って差別扱いとは認められない。

2901 組合無視
組合からの給与改訂についての団交申入れを受けながらこれを無視して一方的に給与を改訂したことは支配介入である。

2901 組合無視
学校が就業規則を作成するに当り、組合に充分な検討の機会を与えず、意見も待たず勤務規則と称するものを作成し、一方的に労働基準監督署に届出たことは支配介入である。

2901 組合無視
電話機等の移転、組合に好意あるコーチの解任、入学試験に組合員を排除したことなどの申立てはいずれも組合と関係がないと認められるので、差別扱いとはなし難い。

4200 組合解散・消滅
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
組合員X1に対する懲戒解雇、続いてその撤回及びその間におけるコーラス部総監督としての氏名削除等の申立てについては当事者間の話合いで解決したことであり、不当労働行為として救済の対象とはしない。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集56集257頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]