概要情報
事件名 |
久保田運送 |
事件番号 |
東京地労委昭和49年(不)第63号
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申立人 |
全日本運輸産業労働組合東京都連合会 |
申立人 |
全日本運輸産業労働組合東京都連合会久保田運送労働組合 |
被申立人 |
久保田運送 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年 8月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社側が、団交場所に固執し、賃上げ額ゼロ回答を続けたこと、会社役員が組合忌避の発言をし、職制らの組合員に対するいやがらせ等の言動を利用したこと、班長ならびに組長を増員し、組合員を差別したこと等をめぐる事件で、会社役員の言動、職制らの言動利用および組長増員について誓約書の手交を命じ、団交場所、賃上げ回答については棄却し、単組の申立てについては組合員が1名であるため労組法第2条に適合しないとして却下した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人久保田運送株式会社は、申立人全日本運輸産業労働組合東京都連合会に対し、下 記文書を配達証明郵便で送付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 全日本運輸産業労働組合東京都連合会 執行委員長 X1 殿 久保田運送株式会社 代表取締役 Y1 当社Y1常務の言動および当社が班長、組長の言動を利用したことならびに昭和49年6月 1日付で組長をにわかに増員したことは不当労働行為であると、東京都地方労働委員会にお いて認定されました。このような行為を今後一切いたしません。 2 被申立人は、前項の命令を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければ ならない。 3 全日本運輸産業労働組合東京都連合会のその余の申立てを棄却する。 4 申立人全日本運輸産業労働組合東京都連合会久保田運送労働組合の申立てを却下する。 |
判定の要旨 |
2250 未妥結・打切り・決裂
組合の賃上げ要求に対し、ある時期まで会社がゼロ回答を続け、回答が遅れたことの事情としては新聞社との運送料改訂との関係があったと認められ、また会社回答に対する組合の修正要求を容れなかったからといって、ただちに不誠実な交渉であるとは認められない。
2501 親睦団体の利用
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
組合結成通知のあった日の朝礼で常務が、組合結成は業務に支障がでると発言したことは、その直後の同夫人の組合は必要ない等の発言を放置していたことを併せ考えると、組合結成に打撃を与えるためになしたもので、言論の自由の範囲を逸脱している。
2900 非組合員の優遇
賃上げで班長・組長手当を大幅に増額した直後、にわかに組長を増員し、非組合員のみ昇格させたことが組合との分離を意図してなされた支配介入である。
2700 威嚇・暴力行為
3410 職制上の地位にある者の言動
班長、組長らが、常務宅で組合対策を協議し、また、常務らは同人らの組合員に対する嫌がらせ行為をみながら何ら注意を与えなかったこと等からみて、班長らの組合員に対する行為は会社に帰責される。
2700 威嚇・暴力行為
会社の労務政策を批判した組合のビラを、常務が、朝礼で副委員長に読み上げるよう強制した行為は、たとえビラの表現に行きすぎがあったとしても、組合に対する嫌がらせ行為と認められる。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
団交場所について、会社はホテルに固執し、結局10数回ホテルで交渉が行なわれたが、それによって交渉が妨げられず、現在は組合が設営した場所で行なわれているから、本件救済利益は失われている。
4833 組織の消滅(含1人組合となった場合)
労委係属中に組合員が1名となった単組については現段階では団体性の要件を欠いているので、不当労働行為の救済申立資格を失ったものとして単組の申立ては却下すべきである。
4102 承認・合意
4823 上部団体
会社の行為は、単組のみならず、上部団体に対する支配介入であるから下部組織が適格性を失っても、上部団体まで救済を受ける適格性を失うものではない。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集56集218頁 |
評釈等情報 |
 
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