労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ニチモウ・キグナス石油 
事件番号  東京地労委昭和47年(不)第74号 
申立人  ニチモウキグナス労働組合 
被申立人  ニチモウ 株式会社 
被申立人  キグナス石油 株式会社 
命令年月日  昭和50年 7月29日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社側が、組合との協議を尽くさず一方的に社員教育を実施し、別組合の結成を援助し、組合役員人事に介入し、団交における組合交渉委員が会社交渉委員に暴言したことに対して警告したこと、さらに、貼付ビラ、懸垂幕の撤去、警告、上部団体加盟の阻止を働きかけ、あるいは会社職制の組合役員に対する威嚇等をめぐる事件で、組合と協議しなければならないこと及び別組合結成援助団交等の組合間差別をしない旨の誓約書の手交を命じ、組合役員人事に対する介入、組合側交渉委員の暴言に対する警告、貼付ビラ、懸垂幕の撤去、警告、会社職制の言動等については棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人ニチモウ株式会社は、申立人ニチモウキグナス労働組合所属組合員を対象とする 社員教育を実施する場合に、同組合から団体交渉の申入れを受けたときは、予め同組合と協 議しなければならない。
2 被申立人ニチモウ株式会社、同キグナス石油株式会社は、申立人組合に対し、下記内容の 文書を本命令書受領後1週間以内に交付しなければならない。
            記
                    昭和 年 月 日
   ニチモウキグナス労働組合
      中央執行委員長 X1 殿
            ニチモウ株式会社
               代表取締役 Y1
 当社は、貴組合との昭和47年春期賃上げ等の団体交渉において、とかく回答、交渉が延引し、妥結に至っていなかったにもかかわらず、ニチモウ労働組合(キグナス石油株式会社の場合はキグナス石油労働組合とする)が結成されるや、直ちに同組合からの団体交渉申入れに応じ、賃上げ、一時金要求を含め、労働協約の締結等重要案件をわずか半日のうちに妥結したことは、、貴組合に対する上記団体交渉の経過と比較し、甚だしく差別があるものであるとして、東京都地方労働委員会より不当労働行為と認定されました。今後貴組合と上記組合とを、公正に取扱い、差別をいたしません。
 上記労働委員会の命令により本書を交付いたします。
3 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  2242 回答なし
会社は、組合員を対象とする社員教育については、組合と協議する旨を承諾し、その必要と理由が存在しているにもかかわらず、社員教育の理念、目的について組合とは全く相容れない対立があるので協議の余地がないと断定しているのは、いささか速断のきらいがあり、協議のための団交申入れを拒否する正当な理由を欠くものというべきである。

2500 別組合の結成・援助
会社は、新労結成通知を受けるや直ちに団交に応じ、組合との間で行詰っていた賃上げ等重要案件をその日のうちに解決したり、会社の労務ニュースを発行して組合から除名、脱退を意に介する必要のない旨を宣伝したこと等を考えると、新労結成当日の新労との団交は申立人組合を新労と差別した不当労働行為である。

2620 反組合的言動
団交の席上における組合側交渉委員の会社側交渉委員に対する言動ははなはだ不穏当なものであり、これに対する警告は支配介入とならない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
組合執行部の上部団体加盟提案に対して、係長が中心になって集会で反対し提案を取下げるに至らしめたことは、他に立証のない限り、同人らが自己の意見によって行動したものというよりほかなく、他にこれに反する資料はない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
組合の全立証を通じて、両社が組合の上部団体加盟を阻止するため、何らかの本社からの指示をうけたのではないかとの疑いがあるが、未だ推測の域を出ず、また、組合の立証はすべて間接証拠であるから、他に疎明がない以上、組合の上部団体加盟を阻止し、介入したということはできない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
組合旗懸垂、撤去等がくり返された折に、会社部長が、通勤途上の組合支部長に対してなした会社の警告を無視するな等の言動については、本人の釈明もあり、これをことさら威嚇として組合に対する支配介入とはなし難い。

2610 職制上の地位にある者の言動
2622 組合員調査
会社職制が組合副委員長の組合脱退者に対する再加入説得につき就業時間外にせよと注意を与えたこと、組合員の女子新労組合員連行に関し実情調査方を申入れたこと等は、日常起りうることであって、これをもって支配介入とまではいえない。

2621 個別的示唆・説得・非難等
2700 威嚇・暴力行為
工場内での組合員確保をめぐるトラブルに対しての注意は新旧再組合に対してなしたもので差別とはいえず、オルグの工場立入りの強行について、「対処せざるを得ない」と述べたことも処分を前提として威嚇したものとは受けとれないから、支配介入とは認められない。

3020 組合活動への制約
組合のビラ貼付、組合旗の窓外懸垂に対し、会社が撤去催告をしたのちこれを撤去したり抗議警告を発したことが、その場所、方法、形状、記載内容等からみて、その撤去を催告し、あるいは自ら撤去できる場合に該当し、そのうえ、何らの懲戒処分も行っていないこと等から直ちに組合に対する支配介入を構成するものではない。

4617 その他
会社幹部が次期正副委員長と会合し、組合人事に関心を示し、助言を与えたことは、不用意のそしりを免れないが、その後、労使間において本件に関し会社側の謝罪等を内容とする協定が成立したことによって自主的に解決済みであるので不当労働行為にならない。

業種・規模  石油製品・石炭製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集56集174頁 
評釈等情報   

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