概要情報
事件名 |
宮城県社会保険診療報酬支払基金 |
事件番号 |
宮城地労委昭和46年(不)第9号
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申立人 |
全国社会保険診療報酬支払基金労働組合宮城支部 |
被申立人 |
社会保険診療報酬支払基金 |
被申立人 |
宮城県社会保険診療報酬支払基金事務所 |
命令年月日 |
昭和50年 7月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
5等級昇格において、申立人組合と別組合と差別し、昇格有資格者2名中、申立人組合員の昇格を認めなかったことをめぐる事件で、別組合員が昇格した時期に遡って昇格させること、バック・ペイ及び命令履行状況報告を命じ、将来の不作為命令については棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人らは、申立人組合員X1を、昭和46年10月1日に遡って5等級に昇格させるとと もに、これによって生じた賃金差額を同人に支払わなければならない。 2 申立人のその余の請求は棄却する。 3 被申立人らは、第1項の命令を履行した後、履行した旨をすみやかに当委員会に報告しな ければならない。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
5等級昇格決定にあたって実施された勤務評定は、公正かつ合理的になされたものとは認められず、一方、5等級に昇格した別組合員X2と昇格しなかった組合員X1との間に、評定に差をつけるほどの決定的優劣は認められない等の諸事情からみて本件昇格決定行為は、組合分裂以来会社が申立人組合に対して行なってきた一連の差別扱いの一環としてなされた不当労働行為である。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
5008 その他
不当労働行為の救済としてバックペイを命ずることは、労委が労組法に基づいて、その救済命令における原状回復の手段として、被申立人に金銭給付を命ずるものであり、労基法や民法上の賃金請求権の存在を前提とするものではなく、賃金請求権の不存在、あるいは消滅時効により、本件申立の被救済利益は存在しないという被申立人の主張は失当である。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
本件申立後の昇格措置により組合員X1は5等級に昇格しているので不利益取扱いは解消され、被救済利益は消減したというが、基金の給与体系は年功序列的な給与体系であり、5等級昇格においても、学歴が同じで勤務成績に差がない限り、入所の早い者が先順位で昇格するのが通常であるのですでに5等級に昇格した別組合員X2と勤務成績について合理的に優劣を判定することができない以上、先に入所したX1が先順位で昇格すべきであり、不利益取扱いは解消されていない。
4413 給与上の不利益の場合
組合は、46年4月に遡って組合員X1を5等級に昇格させるよう求めているが、本件申立理由が同年10月の5等級昇格時において先順位である同人を組合の所属による差別扱いに基づき昇格させなかったことの是正にあるので、比較対象者である別組合員が昇格した46年10月に遡って同人を昇格させることをもって足りると考える。
4416 将来にわたる不作為を命じた例
申立人組合は同組合所属の組合員に対する将来における昇給昇格差別の禁止を求めているが、将来の不作為義務を命ずるのは、将来同種の不当労働行為が反覆されるおそれがあり、しかも、これを緊急に排除する必要がある場合に限られるところ本件についてはその必要性は認められない。
4916 企業に影響力を持つ者
5等級昇格について、本部理事長から宮城県基金幹事長に一部委任されているが、昇格決定の承認という最終権限は本部理事長が有しており、特に本部が組合間の差別的労務管理の基本方針を定め、宮城県基金がその方針に従って本件昇格査定をしたものと認められるので、本部基金も不当労働行為上の責任を負わなければならない。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集56集122頁 |
評釈等情報 |
 
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