労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  沢藤電気 
事件番号  東京地労委昭和46年(不)第47号 
東京地労委昭和47年(不)第67号 
申立人  X1 
申立人  全国金属労働組合東京地方本部沢藤電機支部 
被申立人  沢藤電機  株式会社 
命令年月日  昭和50年 7月 1日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  団交拒否および制限、時間内組合活動および団交について別組合と差別、会社行事につき組合無視、賃金・一時金の人事考課査定、業務内容、昇格等について別組合員と差別、組合員の退職届撤回の申出を拒否等をめぐる事件で、退職届の撤回を認め、原職復帰、バック・ペイ、業務上の処遇の改善、組合員2名を月給者にする等を命じ、会社行事についての組合無視については却下し、団交拒否および制限、時間内組合活動および団交について別組合と差別、賃金・一時金の人事考課査定上の差別については棄却した。 
命令主文  1 被申立人沢藤電機株式会社は、申立人X1の退職届の撤回を認め、同人を原職に復帰さ  せ、昭和46年2月3日から原職に復帰する日までに同人が受けるはずであった賃金相当額を 支払わなければならない。
2 被申立人は、X2に対し、月平均3日ないし、4日程度の仕事しか与えないという処遇を 改めなければならない。
3 被申立人は、X2およびX3に対して昭和48年11月6日付で月給制を適用しなければなら ない。
4 43年度慰安会および会社創立記念日の行事などについて申立人組合と協議しなかったこと を支配介入であると主張する申立てを却下する。
5 その余の申立を棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
活発な組合活動を持っていた組合役員に、1ヶ月のうち3日ないし4日分の仕事量しか与えないことは、申立人組合の幹部に就任するものはこのような取扱いを受けることがある旨を示し組合活動を弱めようとしたものと判断せざるを得ない。

1604 その他
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
従業員が、入社後一定年限を経れば、特に勤務成績が不良の場合を除いて月給制が適用されており、同人らが月給制適用の諸条件をみたしているにもかかわらず、組合員5名を月給者にさせなかったことは同人らが組合員であるがための不当労働行為である。

1604 その他
3700 使用者の認識・嫌悪
会社は通常退職届を出した従業員に対して退職を慰留するよう説得を行うにもかかわらず、組合員X1のみを特別扱いにして人事手続きを急いだことは不自然であり、当時人員不足であったこと、同人は中位の査定をうけていたことを考えると、本件退職届の撤回申入れを認めない会社の行為は、同人の在職を嫌ってなした不利益扱いである。

2246 併存団体との関係
会社の団交姿勢には、必ずしも十分と思われない点もみられるが、会社は組合と同一事案について別組合と平行して団交をもっている場合もあり、時間・回数等についても別組合と同程度に応対している場合もあるので、一時的な取扱上の差異をもってただちに団交拒否が成立する程度に達しているとは認め難い。

2300 賃金・労働時間
2301 人事事項
職種グループ別格付配分、組合員2名の異動に関する組合からの団交申入れに対し、会社は団交議題にはならないとしながらも説明のうえ、回答を行ない、また組合要求に応じて団交に応じているので不当労働行為が成立するとは認められない。

4413 給与上の不利益の場合
月給者に昇格しなかった組合員5名中X1及びX3の2名について、どの時期に月給者扱いにすべきかについて疎明がないので、遅くともX1以前に入社したX3と同時期に月給者扱いにすべきであり、X3と同期入社者が昇格したと同時期に月給者とすべきことを命ずる。

5144 不当労働行為でないことが明白
都労委昭46不47号事件は、中労委での別件和解成立前に発生した事実についての申立てであるが、申立人が救済を求めている具体的事実は、和解事件とは別個のものであり、また、協定書の内容から和解成立の日までに生じた事実に関しこれ以上一切請求しない趣旨とは認められず、その他の諸事情からみて、本件は労委規則第34条第1項第5号に該当しない。

5144 不当労働行為でないことが明白
48年賃上げ等に関する協定には、組合間に「差別の事実はない」ことが確認されているとしても、これをもって本件申立ての取下げにつき協定が成立していると判断できないので、本件が労委規則第34条第1項第5号ならびに同条第4項に該当するとの会社主張は採用できない。

5200 除斥期間
慰安会等会社主催の諸行事開催について組合と連絡、協議しなかったことの申立ては申立時より1年以上前のことであることから却下する。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集56集33頁 
評釈等情報   

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