労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本信号 
事件番号  埼玉地労委昭和46年(不)第2号 
申立人  総評全国金属労働組合埼玉地方本部 
申立人  総評全国金属労働組合 
申立人  総評全国金属労働組合埼玉地方本部日本信号支部 
被申立人  日本信号  株式会社 
命令年月日  昭和50年 5月29日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  年末一時金の査定における差別的取扱いが争われた事件で、不利益取扱い、支配介入の禁止、誓約書の交付を命じ、謝罪文掲示については棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人会社は、従業員に対する賞与(一時金)の支給に関し、申立人組合員に対して申 立人組合員であることを理由として、同組合に所属しない従業員と差別して不利益な取扱い をしてはならず、かつそのような不利益な取扱いにより同組合の運営に支配介入してはなら ない。
2 被申立人会社は、本命令書交付の日から7日以内に申立人支部に対して、下記文面の誓約 書を交付しなければならない。
                     記
                  誓  約  書
  当社は、会社従業員の昭和45年年末賞与(一時金)の支給に際し、貴組合の組合員を、貴 組合に所属しない従業員よりも不利益に取扱うことによって、貴組合の運営に支配介入致し ましたが、そのことについて、ここに陳謝するとともに、今後かかる行為を繰り返さないこ とを誓約致します。
                                 昭和 年 月 日
                        日本信号株式会社
                         代表取締役 Y1
   総評全国金属労働組合殿
   総評全国金属労働組合埼玉地方本部殿
   総評全国金属労働組合埼玉地方本部日本信号支部殿
3 申立人らのその余の請求を棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
一時金は労働基準法上の賃金であり、個々の従業員にとってその内容が明白であることが必要であるので、労働条件の明示義務規定の精神を尊重する意味において、会社は査定基準を明示すべきである。

1202 考課査定による差別
労働組合の在り方をめぐって脱退問題など紛争を惹起している場合は、会社の査定はとくに慎重でなければならず、不利益な取扱いを受けたと考える従業員が査定基準につき尋ねたときは、納得のいくような説明をなすべきものである。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
年末一時金の査定においてとくに組合員全体が低く査定され、かつ、その組合員らの勤務成績が他の従業員と比較して著しく劣っていたと認められず、不利益に取扱われたのは支部組合員であったという以外にその理由を見出すことができないときは、支部組合員であることを理由とする不利益扱いであり、支部組合の運営に支配介入する不当労働行為である。

5121 挙証・採証
査定基準が不明確であり、組合及びその組合員への明示において問題があったときは、申立人が不利益取扱いの結果について事実を疎明した以上、被申立人がその結果を正当化するにたる合理的理由の存在について疎明すべきである。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集582頁 
評釈等情報   

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