労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  プリマハム 
事件番号  鹿児島地労委昭和48年(不)第2号 
申立人  プリマハム労働組合 
被申立人  プリマハム  株式会社 
命令年月日  昭和50年 5月15日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合分裂直後のチェック・オフの取扱い、課長の部下に対する人事面接の際の言動、下級職制である別組合役員らの組合加入勧誘および一時金支給において協定を守らず差別扱いをしたことをめぐる事件で、組合間差別による支配介入及び申立人組合員であることを理由とする不利益扱いの禁止、一時金について組合員平均3ヶ月となるよう再査定、差額の支給及びポスト・ノーティスを命じ、課長及び下級職制の言動については棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人プリマハム株式会社は、申立人組合に対してプリマ民主労働組合と差別扱いする などして、その運営を支配し、若しくはこれに介入してはならない。また、申立人組合の組 合員であることを理由として不利益な取扱いをしてはならない。
2 被申立人会社は、申立人組合九州支部の組合員に対して、昭和48年6月30日に支給した夏 期一時金の査定について、組合員平均3ヶ月となるように再査定して、これによって生じた 差額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、本命令交付の日から7日以内に、下記内容の陳謝文を申立人組合に交付 するとともに、縦1.5メートル、横3.0メートルの白紙に墨書し、被申立人串木野工場の従業 員の出入口付近の見やすい場所に7日間掲示しなければならない。
             記
          陳  謝  文
 当社は、貴組合に対し、プリマ民主労働組合と差別扱いするなどして貴組合の運営を支配し、これに介入しました。また、昭和48年度の夏期一時金の査定について、貴組合の組合員に対し低ランクに査定し差別扱いしました。
 これらの行為は、労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為でありますので、ここに深く陳謝しますとともに、今後このような支配介入、差別扱いをしないことを誓約します。
                    昭和 年 月 日
   プリマハム労働組合
    中央執行委員長 X1 殿
           プリマハム株式会社
            代表取締役社長 Y1
4 申立人のその余の請求を棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
組合分裂後会社が両組合との間で個別に一時金協定を締結した以上各協定に約した事項はそれぞれ独立したものとして履行義務を負うべきものであるのに、協定が分裂前のものと同一体裁、同一内容であるとして両協定を一本のものとして取扱い申立組合員に対して低査定を行なうことにより協定で約した平均月数に満たない一時金を支給したことは不利益扱いである。

2610 職制上の地位にある者の言動
2622 組合員調査
3410 職制上の地位にある者の言動
組合分裂後、課長が部下のX2との人事面接で組合支持に関する質問を行ったことは妥当でないが、X2が組合活動家であるとの疎明はなく、面接がたまたま組合分裂直後であったこと、同人らの個人的親疎関係を合わせ考えればこれが会社の意を体したものとは言えず、転勤を強要したということもX2が以前からその転勤を希望していたもので、当時の労使関係がどうであれ、当該面接を行なうことが考えられるので、これをX2に対する組合活動の抑圧、組合の弱体化を企図したものとすることはできない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合分裂直後の組合加入勧誘において、会社の下級職制で新労の執行部役員らが夜間再三家庭訪問を行い、給与上の得失を表示したことのみで、当該行為が会社の指示もしくはその意を体してなしたものと即断することはできない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合分裂直後の両組合間で組合費の取扱いについて話し合いによる結論をうることは早急には期待しえないのが通常であり、その話し合いの結果を20日程度の短期間に会社へ報告することは事実上不可能であるのに、組合と十分な話し合いをしないまま組合費を削減し、大部分の組合費を別組合に交付した会社の措置は、組合を弱体化しようとする不当労働行為である。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集528頁 
評釈等情報   

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