労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  安全タクシー 
事件番号  兵庫地労委昭和49年(不)第4号 
申立人  全自交安全タクシー労働組合 
被申立人  安全タクシー  株式会社 
命令年月日  昭和50年 4月22日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  納金管理に関する協定不履行、親睦団体の育成保護、労働協約の一方的破棄通告、慰安旅行中止について協議せず、日勤の一方的破棄通告、一方的なビラ撤去通告等の支配介入行為、会社掲示文書破棄を理由とする執行委員長の出勤停止処分、賃上げに関する団交拒否等をめぐる事件で、支配介入の禁止、処分の取消しを命じ、団交拒否については棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人は、
 (1)申立人との間で締結した納金管理に関する昭和48年11月17日付協定を無視して、営業収    入中賃金相当日割額の預託保管、営業収入金の使途の報告をせず、
 (2)親睦団体である協和会を育成保護したり、
 (3)申立人との労働協約につき、
  ア有効期間を無視して一方的に破棄通告をなし、
  イ同協約第31条、第33条に違反し、上記協和会と交渉して昭和49年度春季慰安会の中止を   協定する一方、この件については申立人との協議を尽くさず、
  ウ同協約第15条第3項に違反して一方的に日勤の廃止を通告したり、
 (4)一方的に、ビラの撤去を通告したりして申立人の自主的運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、昭和49年3月28日付でなした申立人の執行委員長X1に対する出勤停止処分 を取消さなければならない。
3 申立人のその余の申立は、これを棄却する。 
判定の要旨  3020 組合活動への制約
組合ビラについては、その内容、形状等において格別支障があるとは認められず、会社の受忍すべき範囲のものであって、これに対する撤去要請は組合活動を制約するものである。

0700 職場規律違反
1400 制裁処分
会社の日勤廃止の掲示文書を破棄した組合執行委員長の行為はいささか性急に過ぎたとしても、その文書が労働協約に違反するものであり、かつあえて出勤停止処分にせねばならぬ程の行為とは認め難く、むしろ執行委員長である同人を就業規則に名を藉りて本件処分をなしたものとみる外ない。

2300 賃金・労働時間
賃上げ交渉は現在なお続行しており、たとえはかばかしい進展をみないとしてもこれをもって会社が団交を拒否しているとは認めがたい。

2803 その他
組合脱退者らによる親睦会結成大会に祝儀を贈り、会社幹部を出席せしめ、費用の不足分を貸与するなどの行為は、同会の育成保護を目的としたものと認めざるを得ない。

2901 組合無視
会社が、従来厚生福祉事業の一環として毎春組合と協議の上、会社の費用負担で行なってきた慰安旅行を、親睦会とのみ交渉して中止を協定し組合との協議をつくさなかったことが、組合に対する支配介入である。

3020 組合活動への制約
組合が社屋玄関附近に設置した3枚の看板は職場の美観を損じ、かつ会社事務所の採光に支障を来し、昼間も点灯を必要とする程であり、その内容も解決済み事項に関するもの不穏当なものが含まれるなど会社の撤去要請は相当な理由がある。

3103 労働協約締結をめぐる行為
賃金不払いに端を発した組合の納金管理が労使の協定により解除されたのち、会社は同協定に基づき賃金源資確保のため収入金の一部を代理人に保管させ、また、毎月の営業収入の使途について組合に報告すべきであるのに、組合が納金を管理していた期間の経費支出につき疑義ありとして、協定を履行しないことは不当労働行為である。

3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が、労働協約がなお5ヶ月間の有効期間が存する時期に、一方的に破棄を通告したことは不当であり、組合に対する支配介入である。

3103 労働協約締結をめぐる行為
計画配車の確立のため日勤廃止を通告したものであったとしても、それが労働条件の変更を伴う以上、何らの事前協議を経ないで、一方的に通告したことは、協約に反するものであり、組合に対する支配介入である。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
出勤停止処分をうけた執行委員長に対して、後日、処分については組合と話合うこととなり、失われた賃金の補償がなされていても、なお不利益がないとはいえない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集478頁 
評釈等情報   

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