労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  極楽寺 
事件番号  大阪地労委昭和49年(不)第43号 
申立人  大阪私学教職員組合 
被申立人  宗教法人 極楽寺 
命令年月日  昭和50年 4月14日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合結成を理由に支給済みの一時金を減額する旨発言し、組合ビラの配布を禁止し、組合の中心人物X1を職務怠慢等を理由に3回にわたって戒告処分に付し、保育担当、クラス担任から外し、賃上げ等に関する団交を拒否した事件で、X1の保育担当、クラス担任への復帰、バックペイ、団交応諾、陳謝文の手交を命じ、ポスト・ノーチィスについては棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人は、申立人組合員X1に対して、同人を速やかに保育担当・クラス担任に就かせ るとともに、同人が保育担当・クラス担任でなかった間、受けるはずであった担任手当相当 額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。
2 被申立人は、昭和49年4月13日、申立人から申し入れのあった要求事項(ただし、X1を 保育担当・クラス担任教諭にすることを除く)について、速やかに申立人と団体交渉 を行 なわなければならない。
3 被申立人は、申立人に対して、下記の陳謝文を、速やかに手交しなければならない。
              記
                       年 月 日
   申立人組合代表者あて
                  被申立人法人代表者名
  当法人は、下記の行為を行いましたが、これらの行為は、労働組合法第7条第1号及び第 3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝しますとともに、今後このよう な行為を繰り返さないことを誓約します。
              記
  (1)貴組合綿渓幼稚園分会の結成当時、貴分会員らに電話をかけ、分会結成に介入すると    ともに、団体交渉の席上、分会結成を理由に昭和48年年末一時金を減額する旨発言した   こと
  (2)貴組合のビラ配布活動に対して、再三にわたり、これを禁止する旨発言し、更に貴組    合員に対して昭和48年年末一時金の未払分の支給を遅らせたり、戒告処分を行うなどし   て、報復措置を講じたこと
  (3)貴組合員X1氏の保育担当・クラス担任をはずしたこと
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
園が指摘する組合ビラの内容が事実に反するものでないことは副園長の発言等からも明らかで、分会員らが陳謝文に署名押印しなかったことは当然であるから、これを理由に48年年末一時金の未払分につき、分会員に対してのみ支給を遅らせたことは不利益扱いである。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
通常、幼稚園の教諭は保育を担当することを当然期待して就職するものであるところ、分会員X1らを何ら合理的理由も示さず一方的に保育担当・クラス担任から外し、もっぱら研究業務に従事させたことは、当人らに大きな精神的苦痛を与えることは明白であり、分会組織の破壊を意図した不当労働行為である。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3500 処分の時期
分会員X1に対する三回にわたる戒告処分理由中、ビラ配布活動に関しては、処分に際していかなる内容が事実に反するか明らかにしておらず、無断欠勤その他の処分理由は、いずれも当を得ないものであり、結局、本件各処分は、ビラ配布活動の直後になされていること、園のビラ配布活動禁止の発言等から、同人のビラ配布活動に対する報復措置としてなされた不当労働行為である。

2245 引き延ばし
賃上げ等に関する団交申入れに対し多忙等その都度口実を設けて結局は団交を拒否し続けている園の態度は不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合結成当日夜、保育部主任が分会員宅に電話で、結成の中心人物、いつごろから組織づくりをはじめたか等を質ねたり、団交の席と、副園長が組合結成を理由に園閉鎖や一時金支給額減額を仄めかしたこと等は、そのなされた時期、内容がら一連のものと認められ、組合結成を嫌悪し、その破壊を意図した支配介入である。

3020 組合活動への制約
何ら合理的理由も示さず、組合のビラ配布活動を一切禁止した園の態度は支配介入であることは論をまたない。

4408 バックペイが認められなかった例
分会員X1に対する保育担当、クラス担任解任に対する救済方法についての組合請求のうち、保育担当・クラス担任に就かせること及び担任手当のバック・ペイは容認しうるが、クラス手当については、保育担当・クラス担任の教諭であるからといって必ずしも支給されるものでないから、これをバック・ペイに含ましめることは妥当でない。

4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
団交要求事項のうち、分会員X1の保育担当・クラス担任問題は主文救済で救済の実を果たしうるものと考えられるので、賃上げについてのみ団交を命ずる。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集443頁 
評釈等情報   

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