労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  サンコータクシー 
事件番号  大分地労委昭和49年(不)第2号 
申立人  全自交別府サンコータクシー労働組合 
申立人  X1 ほか46名 
被申立人  サンコータクシー 株式会社 
命令年月日  昭和50年 3月22日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社は、組合の反対する嘱託雇用契約を個々の組合員に勧誘、締結したり、必要以上の従業員を嘱託雇用契約で採用し、同人らをして同様の行為をさせたり、嘱託雇用契約導入に関する文書を掲示した事件で、支配介入の禁止、ポスト・ノーチィスを命じた。 
命令主文  主     文
1 被申立人会社は、申立人組合員に対し、合理的理由を欠く退職を迫ったり、申立人組合か らの脱退を勧奨したり、申立人組合の意向を無視して個々に嘱託雇用契約を勧誘、締結した り、又は従業員をしてこれらの行為をさせたり、申立人組合の方針、運営のあり方につき、 申立人組合執行部の姿勢等に対し、誹謗、中傷したりして、申立人組合の運営に支配介入し てはならない。
2 被申立人会社は、本命令書を受領した日から10日以内に縦109センチメートル、横78センチ メートルの紙に下記陳謝文をわかりやすく墨書し、これを被申立人会社の本社及び各営業所 内の従業員の見やすい場所に1週間揚げ、従業員に周知させねばならない。
              記
                    昭和 年 月 日
  全自交別府サンコータクシー労働組合
      執行委員長 X2 殿
             サンコータクシー株式会社
               代表取締役 Y1
 当会社は、貴組合の弱体化を意図し、従業員の大量補充や金銭等をもって会社退職、貴組合からの脱退及び貴組合の意向を無視して個々の組合員に嘱託雇用契約を勧誘、締結等したり、又は従業員をしてこれらの行為をなさしめ、嘱託雇用制度に対する貴組合の方針、運営のあり方及び執行部の姿勢等を誹謗、中傷したことは、大分県地方労働委員会の命令により不当労働行為であると認定されました。当会社は、その行為を深く反省し、陳謝の意を表わすとともに、今後このような行為をくりかえさないことを確約いたします。
3 別紙当事者目録第二に記載する申立人の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2611 その他の従業員の言動
2700 威嚇・暴力行為
3411 その他の従業員の言動
新規採用者らが組合員に個別的に退職あるいは組合の反対する嘱託雇用契約を勧誘したことは勧誘等をうけた者が、その直後会社から社外で金銭の提供をうけており、依願退職者には解雇予告手当や未妥結の年末一時金が支給され、退職者のうち再雇用された者すべてが嘱託雇用契約であること、ユ・シ協定該当者を放置したこと等からみると会社と新規採用者らは一体となって、嘱託雇用契約の普及を通して申立人組合の壊滅をねらったものである。

2620 反組合的言動
会社が嘱託雇用契約制度に関し掲示した文書の内容は、同制度に反対する組合員を説得するためのものであるとは考えられず、この制度導入に強硬に反対する組合員が退職を余儀なくされること、あるいは組合執行部を誹謗、中傷することを目的としたものであり、使用者の言論の自由の限界をこえ、組合の運営に支配介入するものである。

3103 労働協約締結をめぐる行為
3800 行為の結果・その他
会社は、組合の反対する嘱託雇用契約方式で大量の従業員を補充した理由として、稼働率向上、将来の人員減少を見込んだ措置であると主張するが、いずれも理由とはなし得ず、かえって、労働協約上争議中の雇入れ禁止、組合員の範囲などの規定があるのに嘱託は非組合員であるとか、争議中の採用ではないなどの発言をして不必要かつ大量の増員を強行したことにより、組合員に解雇等の不安を与え、その団結破壊を図ったものである。

4811 労組法7条3号(個人申立)の場合
本件において求める救済内容は労組法7条3号に関するものであるから、すでに申立人組合を脱退している6名については当事者適格がなく、同人らの申立てについては棄却する。

5008 その他
組合が、配転又は採用の取消しを求めているのは名宛人以外の第三者に関することであり、その第三者の生活に重大な影響を及ぼすという特別の利害関係の存する本件の場合、その利害関係人が、審査に参加し、弁明等の機会が与えられず、いわゆる適正手続の保障が与えられていない以上、労委が同人らの配転・採用の取消しを命じることはその限界をこえるものである。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集381頁 
評釈等情報   

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