労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  平和タクシー 
事件番号  群馬地労委昭和48年(不)第4号 
申立人  平和タクシー労働組合 
被申立人  平和タクシー 株式会社 
命令年月日  昭和50年 3月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社は賃金体系の変更の提案に固執し、組合がこれに同意しないことを理由に賃上げおよび年間一時金の団交を拒否し、組合員に対してのみ賃上げを行なわず、年間一時金を支給しなかった事件で、団交応諾、ポスト・ノーティスを命じ、支配介入については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、いわゆるオール歩合折半方式を申立人組合が承認することに固執することな く、賃金および年間一時金について、申立人組合が申入れる団体交渉に誠意をもって応じな ければならない。
2 被申立人は、本命令交付の日から10日以内に、縦1m×横1.5mの白色木板に下記のとおり楷 書で墨書し、被申立人会社の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
                      記
  会社は、貴組合の申入れた基本給積上げ方式による賃上げおよび年間一時金の支給に関す る団体交渉に誠意をもって応じなかったのは、不当労働行為であったことを認め、今後この ような行為は繰返しません。
                                 昭和 年 月 日
   平和タクシー労働組合
    執行委員長 X1 殿
                            平和タクシー株式会社
                             代表取締役 Y1
3 被申立人は、前項に命ずるところを履行したときは、遅滞なく、当委員会に文書で報告し なければならない。
4 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
賃上げは、社会経済情勢、会社の経営状態、労使の相対関係等を勘案して決定されるもので、従来と同様の賃上げをしないこと及び単純に同業他社の平均額と同額の賃上げをしないことが直ちに不利益扱いとはいえず、また賃金体系、職務内容を全く異にする非乗務員に賃上げがなされたとしても両者を比較しえないから不利益扱いとすることは困難である。

1201 支払い遅延・給付差別
年間一時金も賃金と同様の諸条件を考えて決定されるもので、他社が支給されているのに当社が支給されなくても不利益扱いとはいえず、また、賃金体系、職務内容、勤務態様の全く異なる非乗務員との比較は困難であり差別扱いを主張する根拠たりえない。

2244 特定条件の固執
2249 その他使用者の態度
賃上げ交渉に際し、労働条件の最も重要な部分である賃金体系をオール歩合折半方式に変更する旨提案し、これに固執し、この方式以外には応じないとする会社の態度は、たとえ赤字経営脱出のためとはいえ、到底誠意ある団交態度とはいえない。

4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
会社は、組合員に対し2カ年にわたり賃上げを全く行わず、また、年間一時金も全く支給しないという異常事態を引き起こし、解決のための努力をしたとは認めることができないので、会社がオール歩合折半方式に固執することなく、組合との団交により解決すべきものと考える。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集369頁 
評釈等情報   

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