事件名 |
名古屋西部運輸 |
事件番号 |
愛知地労委昭和49年(不)第11号
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申立人 |
X1 |
申立人 |
全国自動車運輸労働組合愛知支部 |
被申立人 |
名古屋西部運輸 有限会社 |
命令年月日 |
昭和50年 3月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合結成以後、分会長に対して事務所待機を多く命令し、その間の外
出を欠勤扱いとして賃金カット、賃金基準の変更、組合事務所貸与に関する別組合との差別扱い、組合ビラ等の撤去をめぐる事件
で、賃金カット分のバック・ペイ、支配介入禁止を命じ、組合事務所の貸与及び組合ビラ等の撤去については棄却し
た。 |
命令主文 |
1 被申立人名古屋西部運輸有限会社は、申立人X1に対し、給料計
算上欠勤扱いした昭和49年5月分の3日及び6月分の2日につき、月額25,000円アップ後の各月分の給料計算方法に よ
りそれぞれ算出した給料を、給料計算上欠勤扱いした同年7月分の6日につき、同月分の給料計算方法により算出した給料をすみ
やかに支払わなければならない。
2 被申立人名古屋西部運輸有限会社は、申立外名古屋西部運輸労働組合を援助し、申立人X1に対し、事務所待機させ、賃金
カットし、賃金基準を変更するなどして、申立人全国自動 車運輸労働組合愛知支部の名古屋西部運輸分会の運営に支配介入して
はならない。
3 申立人らのその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
事務所待機中、分会長は、配車係に行先を明示し、了解を得て外出し、出先から会社に連絡していたこと、退社時刻に至るも連
絡、帰社しなかった日についても、特に会社の業務に支障を与えたことは認められないこと等から会社が、同人の外出を欠勤扱い
にして賃金カットしたことには合理性がない。
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会長ら組合員4名の6月分の給料が低下したことは、同人らが賃金基準の変更に同意していないにもかかわらず、会社が同人ら
に対する賃金基準を一方的に変更した結果と判断され、分会結成前後の状況も総合すると、本件賃金基準の変更は不当労働行為で
ある。
1302 就業上の差別
申立人らに対する事務所待機命令は、受注量減少の事実がないこと、下請業者を使用して業務を行っていたことから合理性がな
い。
2500 別組合の結成・援助
2621 個別的示唆・説得・非難等
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
総務部長が親睦会を改組して新組合を結成したこと、社長が分会長に同人と会うよう要請し、同人が分会長に会社の意を体し要求
撤回を求める発言をしたこと、新組合には組合事務所を貸与していたこと及び分会結成前後の状況等から、会社が新組合に組合事
務所、掲示板の貸与をする等の便宜を与えたことは、新組合を援助することにより、分会の組合活動を抑制しようとした支配介入
である。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
分会事務所及び掲示板の貸与については、会社の新事務所完成により貸与することで了解済みであり、会社が貸与拒否の意図を
もって故意に新事務所の完成を遅らせているとの具体的事実の疎明はない。
0202 会社施設の利用
3020 組合活動への制約
組合が会社社屋に無断で掲示したビラ等のうち、営業所入口のガラス戸への掲示は、明らかに業務上支障があると認められ、会社
がこれを撤去したとしても支配介入とならない。その他の掲示はその場所、態様等について具体的疎明がなく当否の判断ができな
い。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
分会は、49年5月及び6月分賃金について月額25,000円アップした賃金基準とすることに同意し、かつ、それに伴う差額
の支給をうけているので、分会長に対する賃金基準の変更を理由とする差額の支払を求める部分は認められない。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集55集313頁 |
評釈等情報 |
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