労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  中部経済新聞社 
事件番号  愛知地労委昭和48年(不)第17号 
愛知地労委昭和48年(不)第18号 
申立人  新聞労連中部経済新聞労働組合 
申立人  X1 外個人15名 
申立人  日本新聞労働組合連合 
被申立人  株式会社 中部経済新聞社 
命令年月日  昭和50年 3月 7日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合のスト中に就労した新労組合員および中立従業員のみに特別繁忙手当を支給したり、組合員に対し昇格差別した事件で、スト中就労した申立組合員に対して同額の金員支給、部次長、課長、主任らへの昇格、バック・ペイおよび誓約書の手交を命じ、部長職への昇格については棄却し、申立て時より1年以前の職位の昇格及び昇給に関する申立ては却下した。 
命令主文  主     文
1 被申立人株式会社中部経済新聞社は、申立人新聞労連中部経済新聞労働組合の組合員で、 昭和45年4月の同組合のストライキ中就労したにもかかわらず特別繁忙手当を支給されなか ったものに対し、5,000 円をそれぞれすみやかに支給しなければならない。
2 被申立人株式会社中部経済新聞社は、繁忙の事実のなかった中立従業員に特別繁忙手当を 支給するなどして、申立人新聞労連中部経済新聞労働組合の運営に支配介入してはならな い。
3 被申立人株式会社中部経済新聞社は、昭和48年10月1日付で、申立人X2を主任に、同X 3、同X4、同X5、同X6及び同X7を課長に、同X8及び同X9を部次長にそれぞれ昇 格させ、同人らに対し、昇格に伴って支払うべき役付手当と支払済役付手当との差額をそれ ぞれすみやかに支払わなければならない。
4 被申立人株式会社中部経済新聞社は、申立人日本新聞労働組合連合及び同新聞労連中部経 済新聞労働組合に対し、下記の誓約書を本命令書交付の日から7日以内に手交しなければな らない。
                      記
                   誓  約  書
  株式会社中部経済新聞社は、特別繁忙手当の支給及び職位の昇格で新聞労連中部経済新聞 労働組合の組合員に対して不当に差別したこと並びに同手当の支給をめぐり同組合の運営に 支配介入したことを陳謝し、今後、このような行為を繰返さないことを誓約します。
                                 昭和 年 月 日
   日本新聞労働組合連合
    中央執行委員長 X10 殿
   新聞労連中部経済新聞労働組合
    執行委員長    X9殿
                        株式会社 中部経済新聞社
                         代表取締役 Y1
5 申立人らの昭和47年10月26日以前の職位の昇格及び昇給に関する申立ては却下する。
6 申立人らのその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1204 スト・カット
1205 別組合員に対する特別手当の支給
2900 非組合員の優遇
会社が新労及び中立従業員に対して繁忙手当を支給したこと自体不当労働行為とは認め難いが、繁忙の事実のなかった中立従業員X11に支給し、一方スト中就労し、現在申立組合員である者に対してのみ支給しなかったことは、正当理由がなく、繁忙手当支給の名のもとになされた不当労働行為である。

1200 降格・不昇格
3700 使用者の認識・嫌悪
申立人X2ら8名の職位について各同一勤続年数者ごとに比較して、全体より低位に置かれていることについて会社は、特段の事情の存在について何ら主張及び疎明をしていないこと、会社が組合を嫌悪していたこと、同人らが組合役員等であることを併せ考えると、本件昇格差別は、同人らの組合活動を理由とした不利益扱いである。

1200 降格・不昇格
申立人X1ら3名については、同一勤続年数者のうちで低位に置かれているとは認められず、昇格に関しては差別があるとは判断できない。

3800 行為の結果・その他
部次長以下の役職者については昇格しても実際の業務内容に変化なく、定員もなく、役付手当が支給されること、勤続年数を基礎としていること等から部次長以下の職位は業務上の必要性より、むしろ、賃金上の待遇とみるのが相当である。

3800 行為の結果・その他
部長以上の昇格は、役員会で決定されることおよび管理職であること等から、部次長以下と同様の賃金上の待遇であるとは解しえない。

4415 賃金是正を命じた例
申立人X8については、48年10月時点でみれば、他の同一勤続年数者の多数と比べてかなり低位に置かれており、X9は、同時点で課長に昇格しながら、なお低位に置かれていることを考えると、会社は両人を同年10月1日付で部次長に昇格させることが相当である。

4415 賃金是正を命じた例
申立人X2ら6名については、48年4月時点で低位に置かれていたと推認することは困難である。従って、会社は同年10月1日付でX2を主任に、他の5名を課長にそれぞれ昇格させることが相当である。

5201 継続する行為
昇格は、継続する行為に該当しないと解するのが相当であるから、本件申立以前1年以内の昇格の当否のみが審査の対象となり、それ以前の昇格については審査の対象とすることはできない。

5201 継続する行為
申立人は現状回復として申立て1年以前の時期での昇格を求めたとしても、その時期以後での昇格を求めない主旨とは判断できないから、申立以前1年以内の昇格の当否を審査することは何ら差し支えない。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集296頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和50年 7月10日  884号(26巻18号) 21頁 

[先頭に戻る]