労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  一畑電気鉄道 
事件番号  島根地労委昭和43年(不)第11号 
申立人  私鉄中国地方労働組合一畑電鉄支部 
被申立人  一畑電気鉄道  株式会社 
命令年月日  昭和50年 2月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合活動家数人が出向命令拒否、暴力行為等の理由で懲戒解雇に付された事件で、金券の着服横領を理由とする被解雇者1名以外は懲戒解雇取消し、原職復帰、バック・ペイを命じ、誓約文の交付と掲示、新聞掲載等については棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人は、申立人私鉄中国地方労働組合一畑電鉄支部書記長X1に対して行った昭和43 年1月12日付の懲戒解雇、同組合員X2に対して行った昭和43年2月27日付の懲戒解雇、同 副執行委員長X3に対して行った昭和43年3月21日付の懲戒解雇、同組合員X4に対して行 った昭和43年4月9日付の懲戒解雇を取り消し、同人らを原職に復帰させるとともに、解雇 の日から原職に復帰するまでの間に同人らが受けるはずであった諸給与相当額をそれぞれ支 払わなければならない。
2 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
組合内の民主化グループの中心人物X2を組合役員選挙の際に虚偽内容の文書を配布し会社の名誉、信用を傷つけたとして懲戒解雇に付したことは、同人のビラ配布行為の作成意図、配布先、方法を斟酌すると、内容に多少不穏当なものがあったとしてもいまだ正当な組合活動の範囲を逸脱しておらず、同人の組合活動を嫌悪してなした不当労働行為である。

0600 暴力行為
3602 違法・不当な行為に使用者側にも責任がある場合
3700 使用者の認識・嫌悪
組合内の民主化グループの中心人物X4を会社の寮において器物を損壊し上司等に暴行に及んだとして懲戒解雇に付したことは、損害額が比較的軽微であり、暴行についてもおよそ危険性の高い反社会的な行動であるとは考えられないこと、同人に対して行なった職制の言動等を総合勘案すると、本件処分は同人の組合活動を嫌悪してなした不当労働行為である。

0900 不正行為
組合内の民主化グループの中心人物X5を業務中に回数券を着服したとして懲戒解雇に付したことは、会社の監査目的が不当とはいえず、又従前の運賃着服等に対する会社の厳格な処分等を総合勘案すると、本処分の決定的理由は回数券の着服にあると認められ、不当労働行為とは認められない。

0900 不正行為
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
3700 使用者の認識・嫌悪
組合内の民主化グループの中心人物X3をタクシーの不正利用をしたとして懲戒解雇に付したことは、不正乗車事件が既に3年を経過しており、しかも当時から会社はこの事実を知っていたものと解され、同人が組合役員選挙に落選後、退職勧告を繰り返すなど会社の一連の行為を総合勘案すると、同人の組合活動を嫌悪してなした不当労働行為である。

1102 業務命令違反
1302 就業上の差別
1603 組合活動上の不利益
組合内の民主化グループの中心人物X1が出向命令を拒否したとして懲戒解雇に付したことは、その意図が業務上の必要性に藉口して同人を出向させることによって、同人を組合員から隔離し組合の活動を封じるものであると解されるから、かかる出向命令を拒否したからといってそれを理由に懲戒解雇することは不当労働行為である。

4838 申立ての承継
一般に不当労働行為の申立権は、団結権の侵害を直接、間接に受けたもの、すなわち救済に対して正当な利害関係を有するものに広く認められているものと解するが、本件申立組合は、当該不当労働行為発生後に結成されているけれども、事件発生当時存在した有志会、同志会を母体としてその後結成されたものであり、かつ被処分者らは本件申立時申立組合の組合員であるから、本件について利害関係を有するものである。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集220頁 
評釈等情報   

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