労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  山形小松重車輛 
事件番号  山形地労委昭和49年(不)第1号 
申立人  全国金属労働組合山形地方本部山形小松支部 
被申立人  山形小松重車輛  株式会社 
被申立人  山形小松フォークリフト  株式会社 
被申立人  株式会社  東商 
命令年月日  昭和50年 2月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社職制らが組合を中傷誹謗し、組合脱退、別組合への加入、退職、組合解散等を慫慂したこと組合役員らを配転したこと等をめぐる事件で、支配介入の禁止、ポスト・ノーティスを命じ、配転及び損害賠償の請求等については棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人会社は、会社職制をして申立人組合を中傷誹謗し、組合員に対し、組合からの脱 退及び別組合への加入ならびに会社退職及び申立人組合解散を慫慂するなどして、申立人組 合の運営に介入してはならない。
2 被申立人会社は、下記文書をそれぞれの会社名で縦1m×横1.3mの板面に明瞭に墨書し、各 本社及び山形小松重車輛株式会社米沢支店の正面入口に掲示し、10日間存置しなければなら ない。
                     記
  会社が、職制をして全国金属労働組合山形地方本部山形小松支部を中傷誹謗し、同支部  の組合員に対し組合からの脱退及び別組合への加入ならびに会社退職及び申立人組合の解散 などを勧奨したことは労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であったことを認  め、今後このような行為を繰返さないことを誓約します。
                              昭和 年 月 日
   全国金属労働組合
    山形地方本部山形小松支部
     執行委員長 X1 殿
3 その余の申立てはこれを棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
組合副委員長ら3名の人事異動は、本社から支店を分離し、同社のスタッフとラインを明確にするために行なわれたもので、本人の希望に対する次善の策として、あるいは赴任する者の出身地を考慮してなされたもので、いずれも合理的理由があり、その他これを不当とする特段の理由は認められない。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
内勤の組合書記長ら2名を外勤に勤務替えしたことにより組合活動に多少の支障が生じたとしても組合運営に対する支配介入にわたる程度のものではない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社部長や次長の組合員に対する発言は、組合から脱退してほしいとの意図でなされたものと認められ、組合結成後間もない時であり、たとえ露骨な表現を含まなくても、労働者の自主的な組合選択や組合活動に影響を与えることは必至で、組合脱退を慫慂したものと認められる。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X2の身元保証人である会社部長の同人に対する言動は、部長が申立人組合を嫌悪していることを内容とし、X2の組合活動をやめさせるためになされたものと認められ、しかも会社幹部の組合切崩しと同時期に行なわれたものでKの保証人であること、父親の依頼によるもの等の事情は、その言動を正当化する理由にならない。

2500 別組合の結成・援助
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
会社は、下級職制の行為は、新労結成の準備行為であると主張するが、一部係長の組合に対する態度の変化と激しい組合切崩しは、会社幹部らによる組合切崩しと並行して行なわれ、新労結成という目的にも合致していること、部長が組合切崩しと新労結成を示唆していること等を考えると、下級職制らの行為は会社と意を通じてなしたものと推認される。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
Y1部長が、病気で長期欠勤中の書記長に対して転職をすすめ、その後執拗に返事を求めたことは、単に今後の生活方針について相談にのっただけとは見られず、同人が退職しない場合の申立人組合のあり方や別組合への合併を示唆していること等からみて、同人に対する退職及び組合解散の慫慂と判断される。

4916 企業に影響力を持つ者
被申立人会社3社は、代表取締役は同一人で、取締役も3社の取締役を兼ねている者がいること、人事異動は3社間で行なっており、対組合との関係でも3社一体で団交に応じていること等から、その労務関係については3社一体とみるのが相当である。

5008 その他
組合は、組合組織破壊に対する陳謝及び組織防衛のための諸経費の補填として損害賠償を請求しているが、不当労働行為制度の趣旨から、これを認容することは、労委の裁量の範囲をこえる。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集127頁 
評釈等情報   

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