労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  日光交通 
事件番号  栃木地労委昭和49年(不)第1号 
申立人  X1 
被申立人  日光交通  株式会社 
命令年月日  昭和50年 1月23日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合執行部を批判するグループを結成し、その副会長に就任したX1を作業中の従業員に暴力脅迫を加えたことなど3項目を理由に懲戒解雇した事件で、原職復帰、バック・ペイを命じ、ポスト・ノーティスについては棄却した。 
命令主文  主       文
1 被申立人は、申立人に対し次の措置を含め、昭和48年12月27日以降同人が解雇されなかっ たと同様の状態に回復させなければならない。
  (1)解雇を取り消し、原職に復帰せしめること。
 (2)解雇の日から原職復帰の日までの間に同人が受けるはずであった諸給与相当額を支払    うこと。
2 その余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0120 政治(党)活動
現組合執行部の運営を批判して結成された会は、単なる派閥争いというより、現執行部の運営が自主性を失い、組合員の利益になるような活動をしていないと判断し、その組合体質改善を目途として結成されたものと認められ、組合役員選挙に立候補者を立てたり、会ニュースを発行するなどの一連の活動は、いずれも正当な組合活動である。

0600 暴力行為
3600 処分の差別
申立人X1の解雇理由の一つである作業中の従業員に対する暴力事件については、両者にそれぞれ責任があり、会社はその経過を十分認識していたにもかかわらず、一方的にX1のみを警察に届出て、訴追されたとして解雇し、相手方は不問に付したことは、取扱上均衡を失するものであり、苛酷に過ぎ、失当である。

0500 勤務成績不良
1105 職場外の行為
申立人は、運転免許取得以来16年間事故を起しておらず、また他の運転手も速度違反により解雇された事実も認められず、いかに安全運転が大切とはいえ、速度違反により罰金を受けたからといって、これを解雇理由とすることは妥当でない。

0800 経歴詐称
傷害前科という前歴が確認されるまでの約6年間において勤務状況や性格行動について特に会社から注意をうけたとする疎明も、経営秩序を紊すような具体的疎明もなく、会社にそれなりに寄与してきたものと推認できるから、今更入社時の経歴詐称を解雇理由とすることは妥当でない。

1302 就業上の差別
3900 「不利益の範囲」
各運転手の休憩時間は特定されておらず、慣行として係などに連絡して休憩していた状況の中で、就業規則上明文の規定のない営業所長の管理権限に服さないとして、就業規則上明文の規定のない乗車勤務を禁じたことは、その間平均賃金を支払ったとしても運転手としての精神的苦痛は免れず、その処分自体客観的妥当性を欠き、一方的、恣意的なものと判断せざるを得ない。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集58頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]