労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  吉田鉄工所 
事件番号  大阪地労委昭和47年(不)第56号 
申立人  全大阪金属産業労働組合 
被申立人  株式会社 吉田鉄工所 
命令年月日  昭和49年12月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  いわゆるドルショックによる経営悪化を理由とする人員整理及びこれに伴う組合員4名の解雇をめぐる事件で、4名のうち2名については原職復帰、年5分の割合による金員を含むバック・ペイを命じ、他の2名の原職復帰および陳謝文の掲示を求める申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、X1及びX2に対し、次の措置を含め、昭和47年3月21日づけ各解雇がなかったと同様の状態に回復させなけらばならない。
(1) 原職に復帰させること。
(2) 解雇の日から現職復帰の日までの間、同人らが受けるはずであった賃金相当額(これに対する年5分の割合による金員を含む)からすでに支給した金員を除いた金員を支払うこと。
2 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2000 人員整理
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件人員整理は、厳しい経費節減、雇員らの解雇、希望退職、帰休制実施、不動産の売却等、一連の不況対策を講じたうえで実施したこと、人員整理の対象が分会員に限定されておらず、分会員以外にも解雇された者がいること等から考えて、人員整理がその必要性もないのに分会破壊を企図して行われたものとの組合主張は是認できない。組合の活動家X1は長期欠勤者として整理基準に該当するが、公傷による欠勤一回につき一点減点という基準は、人員整理における解雇基準としては過酷であり当を行ず、同理由による解雇者が同人のみであること、本件整理に先立ち、就業規則の定めがないのに休職期間が徒過したとして同人をいったん退職扱いにしたことその他の事情からみて、会社が公正な整理基準により同人を解雇したものとは認め難く、本件解雇は人員整理に藉口し、組合員を企業外に排除し、組合を弱体化しようとするものである。

2000 人員整理
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X2の解雇は、既に別件において不当労働行為と認定された46年夏、および年末一時金支給に際しての考課査定を整理基準としてなされたものである以上、双方のその他の主張について判断するまでもなく、本件整理基準に藉口してなされた不当労働行為である。

2000 人員整理
組合は「58歳以上の高齢者」を整理基準にしたのは組合員X3を解雇せんとしたものであると主張するが、同基準には他に非分会員2名が該当し、整理されていることからみて、組合の主張は採用できない。

2000 人員整理
欠勤日数が多いことが整理基準に該当するとしてなされた組合員X4の解雇につき、組合は、欠勤の理由としてX4に業務からくる腰痛症にあること、精勤度算出期間が会社の組合攻撃が激しかった時期でもあること、組合活動による欠勤が多かったこと等を主張するが、腰痛の事実も不明であり、また、X4が他組合員に比べ会社から特に激しく攻撃されたとも認められないのにX4の欠勤が甚だしく多いこと、組合活動による欠勤につき、正規の届出あるものは対象から除外していること等からみて組合の主張は採用できない。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集567頁 
評釈等情報   

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