労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪金属加工 
事件番号  大阪地労委昭和48年(不)第32号 
大阪地労委昭和48年(不)第77号 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合大阪地方本部大阪金属加工支部 
被申立人  丸紅  株式会社 
被申立人  大阪金属加工 株式会社 
命令年月日  昭和49年12月21日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社幹部の上部団体脱退を示唆する発言、新労組結成援助、争議解決金の支払についての協定の不履行等をめぐる事件で、会社の行為を支配介入と認め、協定に基づく金員の支払、ポスト・ノーティスを命じ、新労組助成のための差別行為の禁止の請求は棄却した。 
命令主文  1 被申立人大阪金属加工株式会社は、申立人との間で締結した昭和48年6月11日づけ協定に基づく金員を申立人に対して支払わなければならない。
2 被申立人大阪金属加工株式会社は、縦1メートル、横 1.5メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社本社正門付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
              記
                    年 月 日
    申立人組合代表者あて
            大阪金属加工株式会社代表者名
 当社が、貴組合の弱体化を企図して脱退工作を行うなど貴組合の自主的運営に介入し、昭和48年6月11日づけ協定に基づく金員を支払わなかったことは、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後このようなことを繰り返さないことを誓約いたします。
 以上、大阪地方労働委員会の命令により掲示します。
3 申立人の被申立人丸紅株式会社に対する申立ては、これを却下する。
4 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2500 別組合の結成・援助
2610 職制上の地位にある者の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
3410 職制上の地位にある者の言動
会社役員が、支部結成直後の組合集会に出席してスト不参加、本部組合脱退などを示唆し、本部組合脱退派に、通常従業員が出入りしない応接室を使用させ、会社職制自ら脱退届を作成し、さらに、組合との団交を一時拒否したこと等からみて、会社が組合運営に介入し、かつ、組合の弱体化を企図して新労の結成を援助したものと考えるのが相当である。

3103 労働協約締結をめぐる行為
争議解決金100万円の支払いを含む協定は、会社の急迫に乗じて締結されたものとは認められず、さらに会社の一連の支配介入行為、理由が判然としない金員の支払い協定を新労組と締結したり、組合が協定解約の申入れを拒否するや、会社はこれら協定の無効、取消しを通告していることなどを総合的に判断すると、本協定の不履行は、組合弱体化を意図した支配介入ある。

4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
組合は、新労組助成のための差別行為の禁止をも求めているが、会社の支配介入行為等についてポスト・ノーティスを命ずれば、十分救済の実を果たすものと考えるので、その必要を認めない。

4915 親会社
従業員の採用、賃金その他の労働条件の決定は会社が独自に行っている以上、M社が会社の株式の85%を保有し、社長以下会社幹部を送りこみ、更に会社の原材料及び加工製品の流通過程に介在しているとしても、M社が労組法第7条にいう使用者であるとは認められない。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集541頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和50年2月28日  871号(26巻5号) 25頁 

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