労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  プリマハム 
事件番号  茨城地労委昭和48年(不)第5号 
申立人  プリマハム労働組合 
被申立人  プリマハム 株式会社 
命令年月日  昭和49年12月 9日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  定期昇給の査定において、組合員を低く査定し、また会社職制が組合脱退を慫慂した事件で、再査定の実施、差額の支払い、支配介入の禁止、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合茨城支部の組合員に対して、昭和48年度に実施した定期昇給の査定について、現行を下まわらず、申立人組合員外の平均と等しくなるよう再査定し、上記組合員の各定期昇給額を是正して、これによって生じた差額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合の組合員に対し、申立人組合からの脱退を慫慂し、あるいは民労への加入を勧誘して、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、下記の陳謝文を命令交付の日から5日以内に申立人に交付し、同内容の文章を縦90cm、横 180cm以上の大きさの白色木板に墨書して、被申立人会社新東京工場の出入口の見やすい場所に7日間掲示しなければならない。
                記
 会社は、申立人組合の組合員に対し、組合からの脱退の慫慂をしたり、また、昭和48年度定期昇給の査定に当って、貴組合所属の組合員に対し、底ランクに査定し、賃金について差別的取扱いをしたが、右行為は貴組合に対する労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後かかる差別を行わないことを誓います。
  昭和 年 月 日
      プリマハム株式会社
       代表取締役 社長代行 Y1
  プリマハム労働組合
      中央執行委員長 X1 殿
4 申立人のその余の請求を棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
組合員の48年度定期昇給の査定ランクが、組合員以外の者に比べ大幅に低くランクされていることは、会社が、考課査定差別についてその合理性を疎明しないこと、査定当時の組合分裂の経過等からみて、申立人組合の組合員であること、組合分裂直前の状況において組合に批判的でなく上部団体脱退派でないことを理由とする不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社が組合を嫌悪し、争議行為に対する干渉、チェック・オフの廃止、さらには組合員に対する考課査定上の差別を行なっていること、また、当該課長らも、組合併存に関することも話題になったことを認めていること等からみて、課長、係長らの職制による組合脱退の慫慂などの不当労働行為的発言があったことが推測される。

5121 挙証・採証
賃上げ等の考課査定についての組合間差別の事件については、組合側で差別の事実を立証、疎明すれば十分であり、会社において差別の根拠についての合理性を疎明しない限り、差別的扱いについての組合の疎明はなされたものとして取り扱わざるをえない。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集419頁 
評釈等情報   

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