労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  圓井製作所 
事件番号  大阪地労委昭和48年(不)第34号 
大阪地労委昭和48年(不)第63号 
申立人  全大阪金属産業労働組合 
被申立人  株式会社 圓井製作所 
命令年月日  昭和49年11月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  賃上げ、一時金の際の分会員に対する差別的考課査定、団交における会社の不誠実な態度、組合員X1の住宅手当据置等をめぐる事件で、分会員の人事考課による査定ランクの是正、ポスト・ノーティスを命じ、住宅手当問題については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合圓井製作所分会員に対し、昭和47年度賃上げについて、下記のとおり措置しなければならない。
(1) 分会員の人事考課による査定ランクを、3級に属する分会員はその級のBAランク、2級に属する分会員はその級のBランクとすること。
(2) 分会員の特別考課金額は、3級に属する分会員は 751円、2級に属する分会員は 285円とすること。
(3) 上記(1)および(2)により是正した金額との差額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を昭和47年6月分の賃金支給時期に遡及して支払うこと。
2 被申立人は、昭和48年度賃上げについて、分会員の人事考課による査定ランクを、3級に属する分会員はその級のABランクに、2級に属する分会員はBランクにそれぞれ是正し、すでに支給した額との差額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を各分会員に支払わなければならない。
3 被申立人は、分会員に対し、昭和47年度および同48年度の夏期一時金について、分会員の人事考課による査定ランクを分会員が属する級の非分会員平均評価ランクとして、分会員の人事考課にかかる得点を是正し、すでに支給した額との差額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。
4 被申立人は、分会員に対し、昭和47年度および同48年度の夏期一時金について、分会員の特別考課金額を下表により是正し、すでに支給した額との差額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。

            年別
           47年度   48年度
  区分

 3級に属する分会員 5,200円   3,000円

 2級に属する分会員 1,600    2,900

5 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木版に下記のとおり明瞭に墨書して、本社正門附近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
             記
                    年 月 日
     申 立 人 組 合 代 表 者あて
     申立人組合圓井製作所分会代表者あて
                 被申立人代表者名
 当社は、貴組合および貴分会に対し、下記の行為を行ないましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝いたしますとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
             記
 昭和47年度および同48年度の賃上げおよび夏期一時金について貴分会の分会員を不当に低く考課査定し、かつ、貴組合との団体交渉に誠意をもって応じなかったこと。
 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。
6 申立人のその他の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
会社の人事考課は客観性に乏しい、公正を期し難いものであること、勤務成績が劣悪であるという低査定理由も納得し難く、さらに、45、46年度賃上げ一時金の差別査定に関する別件救済命令後も何ら改善の努力が認められないこと等を併せ考えると、本件47、48年度の賃上げ一時金についての考課査定も、考課査定制度を恣意的に運用して分会員を低く査定し、差別することにより組合の弱体化を意図したものと判断せざるをえない。

1201 支払い遅延・給付差別
組合は、賃上げにおいて組合員X1の住宅手当の引上げがないのは不当であると主張するが、X1は46年賃上げで住宅手当の引上げをうけ、その後扶養家族のなくなった以降も減額されず、以後、扶養家族をもたない者に対する支給額を下まわっていないから、X1が不利益扱いを受けたとは認められず、組合の申立ては理由がない。

2240 説明・説得の程度
2252 署名・調印拒否
組合の団交申入れに対し、具体的理由を説明することなく、しばしば期日を変更し、そのため第1回団交は、団交申入れから1カ月後に開催されたこと、組合の強い要求にもかかわらず、回答の根拠資料を提出せず、具体的根拠の説明も全く行なわないこと、妥協後の協定書作成を拒否する等会社は誠意ある団交を行なったものとは認められず、団交拒否にあたる。

1203 その他給与決定上の取扱い
本件査定期間中に組合員が労働委員会に証人として出頭し、会社申請の証人と異る取扱いをすることは不当労働行為であるが、補佐人については取扱いを異にしても不当であるということはできず、証人として出頭したこと以外の理由で出勤率が低下し、それが考課に影響したとしてもやむを得ないものであり、組合が出勤考課の是正を求める申立ては理由がない。

4415 賃金是正を命じた例
賃金および夏期一時金における差別是正の方法として、出勤考課を除く人事、特別考課について分会員を除く全従業員平均額を各分会員に支給するよう求めているが、従業員が5つの級に区分され、各級別に考課査定が行われていること、分会員が不当に低く格づけされているとの疎明も充分でないことから、各級ごとの非分会員平均額または平均点数を下まわらないように当該級に属する分会員への考課金額または点数を定めて支給すべき旨を命じるほかはない。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
組合は、48年度夏期一時金について、是正されるべき支給額と支給済額との差額に年1割の割合による金額を付加して支払いを命じるよう求めているが、年5分の割合による金額を付加して支払いを命じることが相当であると考える。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集354頁 
評釈等情報   

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