労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  浜寺病院 
事件番号  大阪地労委昭和48年(不)第27号 
大阪地労委昭和48年(不)第46号 
申立人  総評全国一般大阪地連浜寺病院労働組合 
被申立人  医療法人  微風会浜寺病院 
命令年月日  昭和49年 8月17日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合役員を含む組合員5名の配転、配転拒否を理由とする解雇、配転に関する協議の拒否などをめぐる事件で、原職復帰、バックペイ、ポスト・ノーティスを命じ、組合との協議を求める申立てについては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合の組合員X1、同X2、同X3、同X4および同X5に対し、次の措置を含め、昭和48年5月21日実施の配置転換および同年6月23日づけ解雇がそれぞれなかったものとして取扱わなければならない。
(1) 現職に復帰させること
(2) 昭和48年5月21日以降、原職に復帰するまでの間、同人らが受けるはずであった賃金相当額(大阪地方裁判所堺支部昭和48年(ヨ)第158~162号従業員地位保全仮処分申請事件の決定によってすでに支払われた額を除く)を支払うこと。
2 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、食堂内にある被申立人の掲示板に1週間掲示しなければならない。
            記
                    年 月 日
      申立人組合代表者あて
               被申立人病院代表者氏名
 当病院は、当病院が行なった下記の行為は、労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
(1) 貴組合の組合員X1、同X2、同X3、同X4および同X5の各氏に対し、昭和48年5月21日実施の配置転換および同年6月23日づけの解雇を行なったこと
(2) 貴組合との間に、上記各氏の配置転換に関し事前協議を開催しなかったこと
 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。
3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0600 暴力行為
1102 業務命令違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
配転拒否、配転前職場への就労による職場混乱、病院幹部への暴行等を理由とする組合員X1ら5名の解雇について、本件配転は不当労働行為であること、配転前の職場への就労においても同人らは日常看護業務を行ない、患者に危険がなかったこと、暴行の件については、職場に入ろうとする同人らを病院幹部が阻止したことに端を発してもみあいが生じたもので、同人らのみ責を帰するのは失当であること等からみて、本件解雇は不利益扱いであり、ひいては組合の弱体化をはかった不当労働行為である。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
3800 行為の結果・その他
X1ら5名の配転について病院は、配転に関する事前協議制の存在を無視して強行していること、本件配転は業務上の必要性は認められず、一方、職場闘争あるいは組合員の団結維持の中心的存在としての活動を阻害され、病院の不当労働行為によって組合員が減少し、動揺をきたす中で配転が行なわれたもので組合の諸活動や団結維持を著しく困難にするものであること等から判断して、本件配転は労組法第7条1、3号に該る不当労働行為である。

2216 その他
2301 人事事項
病院は、配転に関する事前協議制は存在しないと主張するが、過去の交歩経過からみて事前協議制の存在が認められ、仮にそれが不存在としても組合活動、労働条件に影響を及ぼす配転に関する団交に応ずべき義務があるといわなければならず、組合の事前協議要求に一切応じないのは、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為である。

4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
申立人組合は、救済命令の内容として配転についての事前協議の開催を求めるが、原職復帰およびポスト・ノーティスを命じた主文により救済の実を果すと考えられ、事前協議の開催まで命ずる必要を認めない。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集208頁 
評釈等情報   

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