労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三栄工業 
事件番号  長野地労委昭和49年(不)第6号 
申立人  三栄工業労働組合 
被申立人  三栄工業  株式会社 
命令年月日  昭和49年 8月 8日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  社長の組合や組合幹部を誹謗したり、組合脱退を強要する言動、別組合・親睦会の結成、会社役員、別組合役員等による組合脱退工作、主力機械の移転及び組合脱退者の配転、不誠意な団交をめぐり争われた事件で、組合への介入禁止、誠意ある団交、誓約書の手交を命じ、ポスト・ノーティスの申立を棄却した。 
命令主文  1 被申立人会社は、組合幹部を非難したり、組合員に対し組合脱退を勧奨したり、合理化に藉口して組合脱退を図る等、自主的な組合活動を妨害して、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人会社は、申立人組合より、昭和49年4月15日付で要求のあった事項に関する団体交渉に、本命令交付の日から、5日以内に、誠意をもって応じなければならない。
3 被申立人会社は、本命令交付の日から、5日以内に、下記の誓約書を申立人組合に手交しなければならない。
                記
             誓  約  書
 当社は、組合幹部を非難したり、組合員に対し組合脱退を勧奨したり、合理化に藉口して組合脱退を図る等、自主的な組合活動を妨害して、貴組合の運営に支配介入し、また、団体交渉に誠意をもって応じなかったが、このようなことは、不当労働行為であることを認め、今後、かかる行為を繰り返さないことを長野県地方労働委員会の命令により、誓約いたします。
   昭和 年 月 日
          三栄工業株式会社
            代表取締役 Y1

    三栄工業労働組合
      執行委員長 X1 殿
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2245 引き延ばし
団交は概ね組合の要求どおり開かれているが、団交の所要時間は平均30分程度でかつ会社が一方的に打切っていること、会社は意図的に要求項目に触れようとしない場合が多く団交では具体的回答をさけていること、別組合、親睦団体とは先に妥結し、組合に対しては不当労働行為救済申立ての取下げを条件に同額回答していること、などからみて会社が誠意をもって団交に応じているとは認め難い。

2500 別組合の結成・援助
2610 職制上の地位にある者の言動
S工場における別組合結成の前後において、会社役員らが、申立組合執行部が同工場従業員と会うのを妨害し、別組合の結成準備会に会社施設を提供し、結成大会に出席して「同盟組合の方がよい」と発言したこと等は、同工場から申立組合員を一掃するために別組合を結成させることを目的とする、社長の意を体した工作であると認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
「地区評幹部はアカだ」「外部から押しつけられた組合要求は受けつけない」等の社長の訓示は、明らかに組合、地区評を誹謗したものであり、組合員に対して「組合にいれば現場へ回す」といって組合脱退を強要するなどの一連の社長の言動は、いずれも支配介入行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2625 非組合員化の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
S工場における工場長、別組合役員らによる組合脱退工作は、会社役員、社長秘書らが組合脱退工作の事前打合せに参加したり、組合員宅を訪問し組合脱退、第二組合加入を勧誘したこと、会社施設を組合脱退工作に提供したこと、集められた組合脱退届、第二組合加入届が社長に提出されたことなどからみて、組合脱退工作に会社が関与しなかったものと認めることはできない。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3500 処分の時期
会社が別組合の結成されたS工場へ主力機械を移転するとともに組合脱退者を配転したことは、これらが組合脱退工作の直前になって直接全従業員に発表されたこと、組合の反対にもかかわらず、一方的に移転したこと、社長が一方的に組合との事前協議を打切っていること、社長に好条件を掲示された組合員が組合を脱退しS工場に移ったことなどからみて、組合弱体化を意図してなされたものと判断される。

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集164頁 
評釈等情報   

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