労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  報知新聞 
事件番号  大阪地労委昭和45年(不)第93号 
大阪地労委昭和46年(不)第12号 
大阪地労委昭和46年(不)第24号 
申立人  報知新聞労働組合 
申立人  日本新聞労働組合連合近畿地方連合会 
申立人  X1ほか19名(詳細は別紙申立人組合員目録記載のとおり) 
被申立人  株式会社 報知新聞 
命令年月日  昭和49年 7月17日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社の機構改革に伴い、またはロック・アウト解除もしくは懲戒休職期間満了に際して行なわれた組合員の配転をめぐる事件で、原職復帰、ポスト・ノーティスを命じ、陳謝文の手交等の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、下表記載の者に対して、同表記載の各配置転換を行なわなかったものとして、それぞれ原職に復帰させなければならない。
 (表 省略)
2 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社大阪支社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
            記
                  年  月  日
 報知新聞労働組合代表者あて
                被申立人会社代表者名
 当社は、昭和45年4月1日以降同48年3月16日までの間、下記の貴組合員に対して配置転換(原職に復帰させた場合を除く)を行ないました。これらの配置転換は、労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。
 X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19およびX20の各氏
 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。
3 申立人らのその他の申立は、これを棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
入社以来長年にわたって映画担当業務や整理業務にそれぞれ従事していた組合幹部X5、X6に対する配転は、両人の配転先の業務が原職とは職種を異にする以前学生アルバイトが行なっていた単純な作業である点からみて、組合活動を嫌悪してなされた職務上の不利益取扱いに該る。

1300 転勤・配転
3700 使用者の認識・嫌悪
会社の一部門の別会社への移設については、会社に特別の合理的必要性があったものとは思わず、一方、組合員X2らは入社以来一貫して同業務に従事していたこと、同部門は従来から組合活動がとくに活発なところであり、会社がこれを快よく思っていなかったこと等からみて同部門の移設にともなうX2らの配転は職務上の不利益取扱いといわざるをえない。

1300 転勤・配転
開発室を移転、同室へ組合員を配転したことは、同室が主任以上を除き休職処分を受けた組合員のみで構成され、構成員の適性、能力等を考慮した事実はなく、また会社主張のように与えられた仕事にもみるべきものがなかったことなどからみて、重要な機構とは認められないこと、等から判断して復職してくる休職者と他の組合員との接触を少くすることを主目的とする、職務上、組合活動上の不利益取扱いと認められる。

1300 転勤・配転
組合活動による不利益取扱いとして開発室への配転が行なわれた後に、同室の廃止に伴い原職ないし原職相当職に復帰することなく、異職種の職場に配転、再配転された者について会社が同人らの適性等を考慮して行なった措置であるとの疎明が不十分であり、これら配転等も職務上の不利益取扱いである。

1300 転勤・配転
報道部のカメラマンX1を連絡部に配転したことは、カメラマンとして採用され、その業務に従事してきたX1を配転しなければならない特段の事情もないこと、7ヶ月後に原職に復帰させていることからみて、同人が組合員であることを理由とする職務上の不利益取扱いと認められる。

1300 転勤・配転
3700 使用者の認識・嫌悪
電話交換手X11に対する漢テレテープ操作担当への配転について、会社は交換手の減員にあたり夜間業務に不適な既婚者X11を配転したものと主張するが、X11は入社以来同業務に従事し、また、女子組合員中ただ一人休職処分を受けるなど会社に嫌悪されていたこと、交換手減員の合理的理由に乏しいことなどからみて、本件配転は職務上の不利益取扱いと認められる。

1300 転勤・配転
3700 使用者の認識・嫌悪
警備員X16の、用務・管理担当への配転は、X16が入社以来警備員として勤務していること、休職処分を受けるなどその組合活動の故に会社から嫌悪されていたこと、などからみて職務上の不利益取扱いと認められる。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
支部書記長X17の校閲担当から整理担当への配転について、会社は新聞社の人事ローテーションの一般であると主張するが、従来大阪支社においては配転は殆んどなく、X17も入社以来校閲業務を担当してきたこと、未経験業務への書記長の配転が組合分裂、処分撤回闘争等数多の問題を抱えた時期になされたことなどからみてこの配転は同人の組合活動を困難にし、組合組織の弱体化をねらった措置と判断せざるをえない。

1300 転勤・配転
1602 精神・生活上の不利益
組合員X18の、文化担当から野球担当への配転につき、何ら異職種配転ではないと会社は主張するが、両者では業務の性質が異なり、野球に知識のないX18を野球担当にする理由がないこと、新職場は副委員長以下の第二組合員が殆んどであること等からみて、本社は職務上、精神上の不利益取扱いに該ると判断される。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件各配転は、それぞれ不利益取扱いであるのみならず、被配転者の殆んどは組合の現、元役員であること、組合員の約半数に対し行われている一方第二組合員等に対しては皆無に近いこと、事前通知、協議を経ることなく一方的に行なわれていること、会社は組合を嫌悪していること等からみて、支配介入にも該当するものと判断される。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、配転された組合員の大部分は原職に復帰するか、その同意により新たな業務に服しており、救済の必要性がないと主張するが、原職に復帰した者については請求する救済の内容が変更されており、原職に復帰していないその他の者も同意によって新業務に服しているわけではないので、会社主張は採用できない。

5124 その他の審査手続
5147 その他
会社は、既に組合から申立てがなされている以上組合が排他的に当事者適格を有し、個人の申立ては不適法であり、仮りに適法としても二重申立てに類し不適法と主張するが、不当労働行為の救済申立ては、組合及び労働者が、連名で、又は別個に、同一内容につき行うことは一般に認められれているところであり、会社主張は失当である。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集87頁 
評釈等情報   

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