労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  五島育英会 
事件番号  東京地労委昭和45年(不)第65号 
東京地労委昭和46年(不)第70号 
東京地労委昭和47年(不)第24号 
申立人  五島育英会教職員組合連合 
被申立人  学校法人 五島育英会 
命令年月日  昭和49年 7月16日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合員の病気休職およびその前提としての休職基準、45年度年度末手当、労働協約締結に関する各団交を拒否した事件でいずれも団交応諾を命じた。 
命令主文  1 被申立人学校法人五島育英会は、申立人五島育英会教職員組合連合が申し入れた「X1の休職及びその前提としての休職基準に関する件」を議題とする団体交渉を、休職基準がすでに明白であることを理由として拒否してはならない。
2 被申立人は、申立人が申し入れた「昭和45年度年度末手当に関する件」を議題とする団体交渉を、(ア)団体交渉ルールが確立されていないこと、(イ)原資がないことを理由として拒否してはならない。
3 被申立人は、申立人が申し入れた「労働協約締結に関する件」を議題とする団体交渉を、(ア)団体交渉ルールが確立されていないこと、(イ)同申し入れが被申立人の就業規則の制定、実施を妨害する目的でなされたことを理由として拒否してはならない。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
組合員に対する病気欠勤による休職の発令及び休職基準に関する団交を、学校は、休職基準は職員給与規程に明らかであり、説明の必要がないとして拒否するが、事前に何らの意向を問われることなく先に欠勤を始めた者より早く休職を発令された事実から組合が休職基準に疑問を抱いて団交を申入れたことは当然であり、学校のあげる理由は正当とはいえない。

2240 説明・説得の程度
学校側は、年度末手当の原資がないことや同手当を設ける必要性に乏しいことは、単組との団交に出席した申立人組合はよく知っており、これ以上申立人組合と交渉の余地はないと主張するが、これらはまさに団交で説明すべきことであり、また、上部団体は独自の立場で団交を行うのであって、これとの団交は必要なしとはいえない。

2211 団交ルールの先議
団交ルールの確立を嫌う組合とは秩序ある団交は困難であるとして学校側はこれを拒否するが、団交ルールの協定がないために、従来特段の支障があったとも認められないから学校側主張は採用できない。

2231 組合の不誠実
労働協約締結の団交申入れは就業規則の実施を妨害するためのものであり、一方就業規則案の説明会で組合は引き延しの態度に終始し、意見書も提出していないと学校は主張するが、組合員が質問を繰返したのも同規則案に労働契約慣行等に反する部分があると考えたからであり、説明会の延期、意見書提出の遅れが組合側の責任と認められない以上、就業規則の制定が進まない故をもって団交を行なわない正当事由にならない。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
休職を命ぜられた組合員が復職したことにより団交の必要性は消滅した、と学校は主張するが、組合が団交を申し入れた趣旨は、休職基準に関する疑問を明らかにしようとしたものと認められ、学校側主張は採用できない。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集81頁 
評釈等情報   

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