概要情報
事件名 |
啓明女学院 |
事件番号 |
兵庫地労委昭和46年(不)第7号
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申立人 |
兵庫私学労働組合 |
被申立人 |
学校法人 啓明女学院 |
命令年月日 |
昭和49年 7月 9日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
団交の席上における暴力行為を理由に組合執行委員を譴責処分に付し、同人を主事からはずし、本件処分に関する団交を拒否した事件で、団交の応諾、譴責処分の取消し、主事に相当する職務を与えることを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人学校法人啓明女学院は、申立人組合が昭和46年5月1日に申入れたX1の譴責処分の取消の件等を議題とする団体交渉に応じなければならない。 2 被申立人学校法人啓明女学院は、昭和46年2月24日付でなしたX1に対する譴責処分を取消さなければならない。 3 被申立人学校法人啓明女学院は、X1に対し昭和46年3月以前に同人が行っていた宗教主事の職務に相当する職務を与えなければならない。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
学院は、X1の暴力行為は就業規則第3条、第37条4号に該当すると主張するが、第3条は制裁規定といえず、第37条の行為はいずれも職務上の非違でありX1の行為はこれに該当せず、本件処分は就業規則上の根拠を有しないこと、X1の活発な組合活動歴を総合して考えると、本件処分はX1の組合活動を嫌悪してなされた不利益取扱いと推認せざるをえない。
1200 降格・不昇格
学院は、機構改革によって宗教主事が同科主任に呼称変更されたもので、職務の変更はなく不利益取扱いではないと主張するが、従来宗教主事以外になかった主事職を新設し、1年後に廃止したことはX1から主事職を剥奪する意図に出たものと疑うに十分であり、X1が主事相当職をも奪われていること、X1の組合活動歴等からみて、本件学院の行為は、機構改革に藉口してなされた不利益取扱いである。
2230 不穏当な態度
執行委員X1が団交の席上における暴力行為の非を認めないことは非難にあたいするが、それが院長の感話中止命令について激しい応酬の末、激昂しての偶発的行為であって同人に故意的意図は認められず、またその後の賃上げ等をめぐる交渉においての暴力行為は認められず、そのことのみをもって団交を拒否する理由とすることはできない。
5008 その他
学院は不当労働行為の救済として譴責処分の取消しを命ずることは、現状回復を目的とする労働委員会の職務権限外であるから、その申立は却下すべきであると主張するが、処分が不当労働行為である以上、原状回復措置としてその処分を取消すことはできるので、学院の主張は採用出来ない。
5008 その他
機構改革により廃止された職務に任命することを命ずることは、労働委員会の職務権限外であるので、本件の救済として、原職に相当する職務を与えることを命ずるほかはない。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集54集68頁 |
評釈等情報 |
 
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