概要情報
事件名 |
毎日広告社 |
事件番号 |
東京地労委昭和48年(不)第12号
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申立人 |
総評全国一般労働組合東京地方本部 |
申立人 |
総評全国一般労働組合東京地方本部中部地域支部毎日広告社分会 |
被申立人 |
株式会社 毎日広告社 |
命令年月日 |
昭和49年 5月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
スト不参加に対する一時金の割増支給、勤務時間中の組合活動、部外者導入による業務妨害、有給休暇中の組合活動などに対する警告、一時金の団交継続中に拘わらず一方的に支給する旨の告示、スト非難の告示等をめぐり争われた事件で、割増分の支給、一部の告示等に関する陳謝文の交付を命じ、その他は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社毎日広告社は、申立人分会の分会員に対して1人 3,000円づつを支給しなければならない。 2 被申立人会社は、申立人分会に対して下記の文書を交付しなければならない。 記 当社が(1)昭和47年7月7日付掲示したこと、(2)同月26日付警告書を交付したこと、(3)同年12月年末一時金の支給に際して、同年11月17日のストライキに参加しなかった従業員にだけ金 3,000円を支給したことは、不当労働行為に該当すると東京都地方労働委員会で認定されました。 今後は同様の行為をくり返しません。 昭和 年 月 日 株式会社 毎日広告社 代表取締役 Y1 総評全国一般労働組合東京地方本部 中央執行委員長 X1 殿 総評全国一般労働組合東京地方本部中部地域支部毎日広告社分会 分会委員長 X2 殿 (注: 年月日は交付の日を記載すること) 3 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0420 その他の争議行為
3020 組合活動への制約
分会が床、机などに随所に貼ったビラは、内容において会社幹部などを侮辱し貼り方も隙間のない程度にまで行なわれており、正当な分会活動とは言えず、もちろん汚損の残らぬように配慮していること、分会公然化直後の闘争時である点を配慮しても、職制のビラはがし、ビラ貼りの禁止は、支配介入とまでは言えない。
1205 別組合員に対する特別手当の支給
会社は、一時金に加えて、スト不参加者に一律に3,000円を別途支給したのは、スト当日の加重労働の当然の報酬であると主張するが、責任度合、職務内容を無視して一律に同額を支給したこと、賃金規定等による取扱いでないことに徴すれば、争議行為を嫌悪し、分会員を差別的に扱ったものと認められる。
2700 威嚇・暴力行為
会社は、就業時間中に組合員の職場離脱が甚だしいと考える場合には、組合に対しても注意を促すことができ、時間内に食込む組合活動が処罰の対象になり、賃金カットも行う旨の本件社告の掲示等は、その文言から見て組合に対する威嚇とは認められず、結局何等の処分も行われなかったことをも考慮すれば、組合活動への介入とみることはできない。
2620 反組合的言動
組合との交渉妥結に先立ち、非組合員に対してのみ一時金を支給するなら格別、本件の如く、分会から一方的支給をしないよう要請を受けていながら、分会員を含む全従業員に支給する旨の掲示をすることは、分会は無用であると分会員に印象づけ、分会の弱体化を意図したものと認められる。
2620 反組合的言動
分会員が有給休暇を請求して組合活動をしたのに対し、会社が「・・・今後この種の休暇は絶対認めないし、厳重に対処する」と文書で警告しないことは、会社が年次有給休暇の利用目的を制限することは許されない以上、分会活動に対する反撃であるといわなければならない。
2620 反組合的言動
社告の中に、組合のストは正当な争議行為とは認め難い等の表現はあるが、これに至る経過をみるに、会社は一時金交渉の有額回答日の延期について十分な理由をあげて了解を求めており、これを不誠実として行われたストに対し割り切れぬ感情を抱いたとしても無理からぬ点があり、また、約束どおりの日に有額回答を行っていることをも考慮すれば、一概に会社を非難することはできない。
3020 組合活動への制約
時限ストの際、外部団体を導入して業務妨害、施設の無許可使用は処罰する旨の警告を手交したことは、スト自体を違法視したものでなく、争議行為に際し、外部者が無断で会社に立入ったことなどについて警告したもので、直ちに組合活動への介入とは判定できない。
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業種・規模 |
情報サービス・調査業(ソフトウェア業等)、広告業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集53集342頁 |
評釈等情報 |
 
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