概要情報
事件名 |
長浜赤十字病院 |
事件番号 |
滋賀地労委昭和48年(不)第2号
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申立人 |
長浜赤十字病院労働組合 |
被申立人 |
長浜赤十字病院 |
命令年月日 |
昭和49年 3月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
争議中に病院長が組合旗を撤去しようとしてこれを破損したこと、また、組合が病院敷地内で許可なく地区労組合員を導入して集会を開催したことを理由に執行委員長を譴責処分にした事件で、ポスト・ノーティスを命じ、組合旗の損害賠償などについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、その費用をもって縦1メートル、横2メートルの白紙に下記の文書を明瞭に墨書し、被申立人病院の職員通用口付近の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 当病院が、昭和48年4月27日に貴組合の組合旗を正当な理由なく撤去しようとして破損したこと、および貴組合員らによる抗議・報告集会の開催を理由として当時の貴組合執行委員長X1氏を昭和48年5月12日付けで譴責処分したことは、滋賀県地方労働委員会により、いずれも不当労働行為であると認定されましたので、これを認め、深く陳謝いたしますとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日 長浜赤十字病院 病院長 Y1 長浜赤十字病院労働組合 執行委員長 X2 殿 2 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
病舎外の職員通用口付近に組合旗を立て、出勤してくる従業員にビラを配布した程度のことは、病院の静穏を害し、そのために正当性を失するほどの組合活動であったとはいえない。
0200 宣伝活動
0202 会社施設の利用
「立入禁止」の立札の穴を利用して組合旗を立てたとしても、従来から立入が厳禁されていたわけではなく、また、組合旗掲揚中も鎖が張られ、立入禁止の目的を果たしていたのであるから、争議中のこの程度の施設利用は病院において受忍すべきものと考えるのが相当である。
1400 制裁処分
委員長が病院の制止を無視して地区労組合員を誘導し、集会を強行したことの疎明は不十分であり、集会自体病院の静穏を害するようなものとは認められず、他方、処分が就業規則に基づく人事委員会の意見聴取を経ずになされたこと、病院長が組合役員を一部過激分子と呼んで敵視していることなどを併せ考えると、結局、本件処分は執行委員長の組合活動を嫌悪してなされたものである。
3020 組合活動への制約
本件組合旗掲揚行為は正当な組合活動と認められるから、病院長自ら組合旗を撤去しようとし、遂には破損せしめたことは、直接破損を目的とした行為でないにしても、施設管理に籍口して、組合旗の掲揚という争議中の労働組合にとって最も基本的活動すら規制、抑圧しようとしたものである。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
病院は、組合旗破損については弁償を申し出、X1の処分については取消しているから、もはや救済すべき実体は存しないというが、病院長は、今後も組合旗が掲揚されれば撤去を求めたいと述べ、処分取消しも本社の指示によるもので自分の本意でないと述べているので、主文命令はなお必要であると判断する。
5005 損害賠償の請求
組合は、組合旗の破損、組合員の負傷の損害賠償を請求しているが、破損については病院が弁償を申し出ているのでこれを受領すればよく、また、負傷は極めて軽微であり、元来損害賠償は不当労働行為の救済制度になじまないものであるから、これらの部分については棄却する。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集53集192頁 |
評釈等情報 |
 
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