概要情報
事件名 |
新日本交通 |
事件番号 |
和歌山地労委昭和48年(不)第4号
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申立人 |
同上労働組合新日交分会 |
申立人 |
全国自動車交通労働組合連合会和歌山地方連合会和歌山自動車交通労働組合 |
被申立人 |
新日本交通 株式会社 |
命令年月日 |
昭和49年 3月14日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
同意約款を無視した管理職の登用、新規採用者や非組合員に対する発言、組合旗等の撤去、一時金について新規採用者より少額回答を行なったこと等をめぐり争われた事件で、支配介入の禁止、新規採用者を下廻らない基準での一時金支給、ポスト・ノーティスを命じ、解決金の支払は却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、非組合員に対して、申立人組合をひぼうしたり、非組合員に有利な労働条件を与えることを暗示する等の方法により、非組合員の申立人組合への加入を妨害し、組合の運営に対して支配介入をしてはならない。 2 被申立人は、申立人組合に対して、昭和48年夏期一時金を、昭和48年4月1日から同7月末までの間に、新たに雇用した従業員に支払った基準を下廻らない基準により計算した額を、支給しなければならない。 3 被申立人は、本命令交付後、3日以内にたて1メートル、横2メートルの白色木板に、この面積一ぱいに下記陳謝文を楷書で筆太に墨書し、被申立人従業員の見易い場所に、継続して5日間掲示しなければならない。 記 当会社は、昭和48年3月25日、組合との和解成立後においても、非組合員に対して、組合をひぼうしたり、又は労働条件を組合員よりも有利に取扱う旨暗示したりして、組合加入を妨害したことは不当労働行為であると認め、深く陳謝します。 今後、正当な組合活動に対する支配介入は、一切いたしません。 昭和 年 月 日 新日本交通株式会社 代表取締役 Y1 全自交和歌山自動車交通労働組合 執行委員長 X1 殿 同上労働組合新日交分会 分 会 長 X2 殿 以上、和歌山県地方労働委員会の命令により掲示します。 4 申立人らの組合員がこうむった物質的損害及び精神的、肉体的苦痛に相当する解決金の支払いを求める部分は、これを却下する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
夏期一時金につき、組合員に対しては0~17,000円余の支給を回答したに止まるのに対し、同年4月以降に入社した非組合員には5万円を支給したことは、明らかに組合員であることによる不利益扱いであると認められる。
2501 親睦団体の利用
会社が、非組合員で作らせようとした親睦会は、営業課長の「非組合員が全員俺の作る組合に入った方が喧嘩し易い」との発言、会社招集の非組合員の会合の際、全員が加入書を書かされていることからみて、組合に対抗するための組織と考えられていたことが認められる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
社長、専務、営業課長の新規採用者に対する「できるだけ組合をさけよ」「組合に加入すると私生活が乱れがちになる」「組合のいうことはいっさい聞かん」等の発言は、組合をひぼうし、新規採用者の組合加入を妨害するものである。
2247 解決済
職制等の変更は組合の同意を得て実施する旨の和解協定に違反し、元組合書記長を管理職に登用したことは、同人のその後の新規採用者に対する反組合的言動等からみて、会社の組合に対する支配介入の意思を推認せしめるに難くない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2900 非組合員の優遇
社長が、非組合員に対し、賃金体系について組合員より有利に扱いたい旨の発言をしたことは、非組合員に対し有利な労働条件を与える旨を暗示し、組合加入を妨害しようとした不当労働行為である。
3020 組合活動への制約
3700 使用者の認識・嫌悪
組合旗の撤去、組合新聞の剥ぎとりは、社長の言葉から会社の行為と認められるが、組合旗の樹立場所等詳細が不明なため組合の正当活動の妨害と直ちに断定はできないとしても、会社の一連の支配介入行為から考えて、組合を嫌悪した為の会社の行き過ぎた行為と認めざるを得ない。
5008 その他
申立人らは、組合及び組合員がこうむった物質的損害、精神的肉体的苦痛に相当する解決金の支払いを求めるが、これは労働委員会の判断すべき事柄ではない。
5120 使用者の不出頭
使用者が、答弁書を提出したのみで、合理的な理由も明らかにしないまま、審査の期日に出頭せず、主張、立証を全く行なわないので、組合の主張及び立証のみで事実認定を行なった。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集53集173頁 |
評釈等情報 |
 
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