労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  杏林製薬 
事件番号  東京地労委昭和47年(不)第112号 
申立人  合成化学産業労働組合連合東京合同労働組合杏林製薬支部 
被申立人  杏林製薬 株式会社 
命令年月日  昭和49年 3月 5日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  団交に即応せず、組合事務所の貸与、会社施設利用を拒否し、会社構内でのビラ配布を不許可としたことをめぐる事件で、団交応諾及び施設利用、ビラ配布の拒否の禁止を命じた。 
命令主文  1 被申立人杏林製薬株式会社は申立人合成化学産業労働組合連合東京合同労働組合杏林製薬支部から団体交渉の申入れを受ける場合、多忙とか原案がないとかの口実を構えてこれを延引してはならず、また上部団体役員の出席を理由にこれを否定してはならない。
2 被申立人は申立人から組合事務所の貸与方について団体交渉の申入れを受ける時は、これに応じ、杏林製薬労働組合連合会の組合事務所の共同使用の方法を含めて申立人に対する組合事務所の貸与ないし利用方につき、これを実現するように努めなければならない。
3 被申立人は申立人の組合活動のための食堂、会議室の使用につき許可を求められる時は、合理的な理由なしにこれを拒否してはならず、かつ、杏林製薬労働組合連合会と差別して取り扱ってはならない。
4 被申立人は申立人から就労時間外における会社構内でのビラの配布について許可を求められる時には、合理的理由なしにこれを拒否してはならない。 
判定の要旨  2123 その他交渉出席者
会社は団体拒否理由として、上部団体役員X1の出席をあげ、X1が以前部長に暴力を振ったことを根拠としているが、そのような事実の疏明はなく、会社のいう出来事は17年も前のことであり、X1はその間10年間連合組合の書記長の地位にあって、その出席が交渉の円滑な進行を妨げるとする会社の懸念は認められない。

2123 その他交渉出席者
組合上部団体役員の出席が社内の秘密を侵すとは言えず、団交中秘密に関連するものがあれば組合や上部団体役員に適当な配慮を要求すればよいのであり、団交拒否の正当な理由とはいえない。

2245 引き延ばし
部長Y1の多忙を理由として団交に応じないが、仮にY1が多忙であるとしても他に代る役員が全くいなかったとは認められない。

2242 回答なし
賃金、一時金に関する組合からの団交申し入れに対し、会社が原案ができていないこと等を理由にして1ヶ月以上団交を延引したことは、別組合と妥結した後に漸く団交に応じたことからみて、支部との団交を故意に延引せしめていたと認めざるを得ない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合が組合事務所の貸与を会社に申し入れたのに対し、会社は回答した措置を何ら実施せず、真に貸与する意思があるのか疑わしく、又別組合との事務所共同使用を不許可とした会社主張も根拠薄弱である等からみて、会社内における組合事務所の存置を嫌い別組合と差別して取り扱ったといえる。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
従前は認められていた食堂、会議室の使用を、別組合には許可し、組合には認めないことにしたことには合理性がなく、別組合との間に差別を設け組合の組合活動に支障を与えていることは明らかである。

0200 宣伝活動
3020 組合活動への制約
会社が構内で組合の行なうビラ配布を単に許可制をとっていることだけで何ら合理的理由もなく一律に制限することは許されないが、本件ビラ配布によって会社施設の汚損や業務に支障をきたしたことは認められない以上、組合活動への干渉ではないとの会社主張は採用できない。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集53集132頁 
評釈等情報   

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