労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  オリエンタル写真工業 
事件番号  東京地労委昭和47年(不)第116号 
申立人  合成化学産業労働組合連合オリンタル写真労働組合 
被申立人  オリエンタル写真工業 株式会社 
命令年月日  昭和49年 3月 5日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が特殊労務対策文書を職制らに配布し、その内容を実行した事件で、文書の撤回、実行の禁止およびポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人オリエンタル写真工業株式会社は、昭和46年3月29日配布した「特殊労務対策について」と題する文書を撤回し、その旨をそれぞれの配布先に書面によって通知し、かつ、今後、上記文書記載の方針を指示し、または、実行してはならない。
2 被申立人は、縦80センチメートル、横 120センチメートルの木板に下記のとおり楷書で墨書し、本命令交付の日から1週間以内に会社本社および平塚工場の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
                記
 当社が「特殊労務対策」なる名称の下に貴組合の役員選挙に関して、候補者の育成・人選・投票依頼などによって組合役員選挙に干渉することを企画し、また、労働組合に関する主義思想・組織運営その他組合活動のあり方に関する教育研修会へ組合員を参加させたことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為をくり返しません。
 同地方労働委員会の命令によってこの掲示をいたします。
  昭和  年  月  日
            オリエンタル写真工業株式会社
             代表取締役 Y1
  合成化学産業労働組合連合オリエンタル写真労働組合
    執行委員長 X1 殿
 (注. 年月日は掲示した日を記載すること。)
3 被申立人は、主文第1項については撤回の旨を通知した書面を添えて、第2項については掲示の写真を添えて本命令の履行状況を当委員会に報告しなければならない。 
判定の要旨  2620 反組合的言動
会社が職制らに配布した特殊労務対策文書は、組合機関から日共・民青等を排除する目的で、職制をして行動させようとしたものであることは明らかであり、この方針に反する職制は降格させる等の記載があること、会社方針の講習会へ組合員を派遣したこと、組合が役員選挙を延期せざるを得なかったこと、会社は同文書の計画を中止する措置をとらなかったこと等からみて、会社は同文書の計画を推進していたものと認められ、これは組合運営に対する支配介入である。

3011 従業員教育
課長らの職制が組合員に研修会参加を命じたことは、その際他言を禁ずるなどの言動から推して、会社の特殊労務対策文書にもとずく会社の一連の行為に属していると認められ、組合の運営に対する支配介入である。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、組合が会社の特殊労務対策文書の存在を知り、役員選挙で反対派を一掃するため、これを不正に利用したのであるから、救済利益を有しないというが、組合が同文書を公表したのは同文書により生ずる混乱を避けるための措置であり、そのため組合内のある派に有利な結果が生じたとしても、それは本件救済利益の存否の判断に影響する問題ではない。

5201 継続する行為
会社は本件申立の1年半ほど前に特殊労務対策文書を配布しているが、その内容はその後2ヵ年を目標とするものであり、現に同文書の方針に基いて、申立前1年以内に講習会へ組合員を派遣したこと、同文書の取扱いをめぐって組合が役員選挙を延期したこと、他方会社が同文書の方針を変更したとする疎明はなく、会社は依然としてその方針を堅持していることなどからみて、却下を求める会社主張は採用できない。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集53集118頁 
評釈等情報  労働判例 昭和49年6月15日  199号 72頁 

[先頭に戻る]