事件名 |
一冨士 |
事件番号 |
大阪地労委昭和48年(不)第22号
大阪地労委昭和48年(不)第36号
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申立人 |
総評全国一般労働組合大阪地方本部大阪一般合同労働組合 |
被申立人 |
株式会社 一冨士 |
命令年月日 |
昭和49年 3月 2日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合の団交申入れに対し前提条件に固執してこれを拒否し、支部役員が組合活動のため無届けで職場離脱したとして賃金カット、譴責処分に付した事件で、団交応諾、処分の取消し、バック・ペイを命じ、陳謝文の掲示・手交は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人から提出された昭和48年3月26日づけ要求書記載事項について、交渉の人員、時間および場所を一方的に指定したり、組合員名簿の提出を条件とすることなくすみやかに団体交渉を行なわなければならない。 2 被申立人は、X1およびX2に対し昭和48年3月27日の賃金に相当する金員の支払いを含め、同人らが同日出勤したものとして取り扱わなければならない。 3 被申立人は、X1に対して、昭和48年6月7日づけ譴責処分がなかったものとして取り扱わなければならない。 4 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
団交申入れに対し会社が誠意をもって応対しておれば不就労の事態は起らず両名は翌27日には通常どおり勤務をなしえたことは明らかであり、27日の賃金をカットした行為は、会社が組合を嫌悪したことによって生じた同人らの不就労についてその責任を同人らに転嫁する不当なものというべきである。
1400 制裁処分
組合支部長X1が当日地労委に出席することは会社の当然予測せられたところであり、職場を離れたのもわずか1時間20分にすぎず、また同人がその届出をしなかったとしても、口頭で注意することはともかくあえて始末書の提出を要求し、これにすなおに応じないからといって同人を譴責に付した会社の行為は、同人の組合活動を嫌悪してなされたものと認められる。
2210 組合員名簿・組合規約不提出
2244 特定条件の固執
会社が組合に申入れた交渉人員、時間の制限は一方的なものであり、また、組合員名簿の提出要求は、組合の要求事項を検討するにあたって、組合員の数を必要とすることはあっても組合員の氏名までも知る必要があるとは考えられず、結局会社は不当な条件を付して団体交渉を実質的に拒否したものというほかはない。
3700 使用者の認識・嫌悪
団交を申入れ、会社が交渉に応ずるまで、2日間にわたり会社に居すわった組合の行為は穏当を欠くものであるが、しかし、このような事態が起きたのは会社が組合を嫌悪し、組合と応対しようとしなかったためであり、もし会社が誠意をもって応対していたならばこうした事態は起こらなかったことは明らかである。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
会社の団体交渉申入れは、組合ののめないような条件を付していることなどからみて、会社が誠意をもって組合と団体交渉を行なおうとの意図でなしたものとは到底考えられず、却ってその申入れは、組合がこれに応じないことを予期してなされたものであることが推認され、応じなかった組合を責めるのは当を得ない。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集53集109頁 |
評釈等情報 |
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