概要情報
事件名 |
昭和交通 |
事件番号 |
福岡地労委昭和48年(不)第6号
|
申立人 |
全自交昭和交通労働組合 |
被申立人 |
昭和交通 株式会社 |
命令年月日 |
昭和49年 2月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
組合幹部に対して所定の退職金を支払わず、また営業部長が再入社員に対し別組合への加入を勧誘し、同人の給料から別組合の組合費を天引した事件で、退職金の全額支払い、支配介入の禁止、ポスト・ノーティスを命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対して、申立人組合との間に締結された昭和43年8月7日付退職金に関する労働協約所定の退職金を全額支払わなければならない。 2 被申立人は、組合加入については、労働者の意志、裁量にまかせ、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人は、申立人組合に対し、下記の文書を縦1メートル、横2メートルの模造紙に記載し、10日間に亘り本社車庫内の従業員の目のとヾく場所に掲示しなければならない。 記 当社は、X1に所定の退職金を支払わず、且つX2に新労に加入するように勧誘したり、無断で新労の組合費を天引させたりして、不当労働行為に及んだことを陳謝し、今後はこのような行為を行なわないことを約束します。 昭和 年 月 日 昭和交通株式会社 代表取締役 Y1 全自交昭和交通労働組合 執行委員長 X3 殿 4 その余の申立は棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
協約締結の日以後に入社した従業員をも協約所定の退職金受給資格者中に包含することを承認した以上は、会社はX1に対して所定の退職金を支給すべき責任を負担し、何ら正当の理由なくしてこれが支給を拒否することは許されず、これを拒否したのは同人が申立人組合の組合員であることを嫌って、敢えてしたものと推認される。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3104 別組合利用・別組合員宅訪問
会社に複数組合が存在しているのに、営業部長が、再入社員に新労への加入を勧誘したり、新労書記長方に同道したり、また本人に無断で給料の中から、新労の組合費を天引きさせたりしたことは、組合の運営に対する支配介入である。
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社は新労との協約と同内容の新協約を締結し、両組合間の退職金に関する差別を解消したいと考え、新協約の締結を申し入れたが、組合から拒否されて交渉が決裂したので、やむを得ず組合との協約の解消を通告したもので、協約を解消しても、組合員には新労との協約の規準に準じて退職金を支給することを考えていたことが証拠により認められるので、本件解約通告を不当労働行為であるとする組合の主張は採用し難い。
|
業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集53集79頁 |
評釈等情報 |
 
|