労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  山口放送 
事件番号  山口地労委昭和43年(不)第4号 
申立人  民放労連山口放送労働組合 
被申立人  山口放送 株式会社 
命令年月日  昭和49年 1月26日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  争議行為の責任追及に関する賞罰委員会の審議過程で発生した「委員会の性格」等4項目の問題に関する組合の団交申入れを拒否した事件で、3項目について陳謝文の手交を命じ、1項目については団交事項に該当しないとして棄却した。 
命令主文  1 被申立人会社は、この命令書の交付の日から7日以内に、申立人組合に対し、下記内容の文書を交付しなければならない。
            記
               昭和  年  月  日
        殿
         山口放送株式会社
            代表取締役  Y1
 昭和42年の機構改革に伴う人事異動等に対する貴組合の争議行為に関する中央闘争委員全員にかかわる懲戒事案について、貴組合が同43年3月8日以降会社に対して行っていた賞罰委員会の性格・委員長の権限及び中間報告についての賞罰に関する労働協約第27条に基づく団体交渉の申し入れに対し、会社がとってきた態度は実質的にこれを拒否したものであり、この行為は労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると、山口県地方労働委員会で認定されました。ここに遺憾の意を表します。
 (注)「年月日」は本文書作成日を、「殿」の前にはあて名を必ず記載すること。
2 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2242 回答なし
形式的に団交がもたれていたとしても、会社には対立意見を調整して解決に導こうとする姿勢がまったく欠如し、協約第27条の団交を拒否する旨の発言以外は一方的に説明や意見を述べるにすぎず、実質を備えた誠意ある団交とはとうてい認められない。

2242 回答なし
組合の団交要求書に詳細が記されていなかったとしても、組合は文書、口頭、団交の席上等で何回となく当該事項についての団交要求をしており、会社は具体的事項を熟知していたはずであるので、要求の仕方が不備であるとして団交拒否の責を免れる理由とすることはできない。

2305 労働協約との関係
賞罰委員会の性格、委員長の権限及び中間報告について、委員長の権限は実質的に極めて小さなものであり、また、上記3項目は協約にいう「解釈不十分なとき」又は「規定がないとき」の何れかに該当するものであるから、協約上の団交事項と認められ会社が3項目に関する団交を拒否したことは不当労働行為である。

2305 労働協約との関係
議事録の作成方法(テープレコーダーの導入)の問題は、協約の解釈に直接かかわるものではなく、委員長の具体的措置の当否の問題であって、協約の定める団交事項とは認められないので、この問題に関する団交拒否救済申立てはこれを棄却する。

2305 労働協約との関係
団交の根拠たる協約の一方的解除について、有効無効の判断は労働委員会がなすべきことはないが、この会社の行為は団交拒否の徹底をはかったものとして組合の団結権の侵害である。

4505 その他
本件労使関係の経緯と現状からみて、会社に対し団交を命ずることが果して必要妥当なものか疑いなしとしないが、さりとてこれを放置すれば不公正な労働慣行を看過黙認する結果となるので、団交権浸害回復のために労働委員会として命じうる可能にして妥当な範囲内において組合の求める救済内容を変更し、会社からの組合への文書交付をもってそれに代える。

業種・規模  放送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集53集44頁 
評釈等情報   

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