概要情報
事件名 |
阪急自動車講習所 |
事件番号 |
大阪地労委昭和47年(不)第36号
大阪地労委昭和47年(不)第55号
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申立人 |
総評全国一般労組全自動車教習所労働組合 |
被申立人 |
株式会社 阪急自動車講習所 |
命令年月日 |
昭和48年11月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
春闘おける賃上げ交渉未解決に端を発した一連の労使間紛争をめぐる事件で、警告、解雇の取消し、ポストノーティスなどを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、すみやかにX1に対し構造指導員資格取得のための機会を与えなければならない。 2 被申立人は、被申立人がした下記警告をすみやかに文書をもってとり消さなければならない。 記 (1) 昭和47年4月28日づけのX2に対する警告 (2) 昭和47年5月8日づけのX3、X2、X4およびX5に対する警告 (3) 昭和47年5月10日づけのX2に対する警告 (4) 昭和47年6月15日づけのX6に対する警告 (5) 昭和47年7月5日づけのX7に対する警告 3 被申立人は、昭和47年6月29日づけのX2に対する懲戒解雇処分をなかったことして取扱い、原職に復帰させるとともに、解雇の日から原職復帰の日までに同人が受けるべきであった賃金相当額を支払わなければならない。 4 被申立人は、すみやかに下記内容の陳謝文を申立人に手交しなければならない。 記 年 月 日 総評全国一般労組 全自動車教習所労働組合 執行委員長 X8 殿 株式会社 阪急自動車講習所 代表取締役 Y1 当社は、当社がした下記行為が労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝しますとともに、今後かかる行為をくりかえさないことを誓約します。 記 1.貴組合に対し事前の通告もせず、一方的に阪急分会事務所の電話器を撤去したこと 2.道路交通法施行規則改正に伴う教習内容の変更を、昭和47年4月1日から実施するに当り、貴組合から事前協議申入れがあったにもかかわらずこれを無視したこと 5 その他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0420 その他の争議行為
組合のいわゆる「抵抗闘争」なるものは、無効の教習を行なうことであるから、会社よりもむしろ、第三者たる教習生に多大の損失を及ぼすものであり正当な争議行為の範囲のものと考えられず、これらの行為に対する処分、警告は相当というべきである。
0414 ピケッティング
1400 制裁処分
部長がストによってコース上に放置された車を邪魔にならないところへ移動させ、非組合員に教習を行なわせようとする行為も許容されるべきところ、Y2がピケと称して実力をもってその移動を阻止しようとした行為は行き過ぎたものと認めざるを得ず、警告を不当処分とする組合主張は容認できない。
0600 暴力行為
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X2の言行には多々問題はあるけれども、懲戒解雇の決定的理由たる部長に対する暴行傷害事件の加害者をX2と断定できない以上、本件解雇は労組法7条1号および3号に該当する不当労働行為であるといわざるを得ない。
1400 制裁処分
電話応待が粗暴であったことはいうまでもないが、当時の対立的な労使関係を考えると、あながち場違いの暴言とはいえないところ、かかる些細な発言に対して警告を行なったのは、Yの活発な組合活動に対する報復的なものと認められ、不当労働行為であると判断される。
1400 制裁処分
免許証更新の失念は、教習所の指導員という本人の職務から考えると、弁解の余地のない重大なものであるから、たとえ処分の時期が抗議活動の翌日であったとしても、この処分をもって不当労働行為であると断ずることはできない。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
就業時間中の抗議活動とはいえ、これは会社が組合にとって重要な回答をしたことから発生したものであって、相当の理由があるものであり、しかも就業時間中といっても休憩時間と類似した時間中のことでもあることを考えると、会社の警告は、労組法7条1号およびに3号に該当する不当労働行為であるといわざるを得ない。
1603 組合活動上の不利益
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
被推せん者数には制限がなく、また合理的な理由が認められないにもかかわらず、構造指導員の資格取得を希望した組合員を公安委員会に推せんしなかったのは、労組法7条1号および3号に該当する不当労働行為であると認めざるを得ない。
2240 説明・説得の程度
事実上10数回の団交が行なわれており、また金額についても回答を掲示しているのであるから、たとえ団交の席において、組合活動を少なくすれば稼動率が良くなるとの発言があったとしても、組合活動を不当に抑圧するものではなく、また団交拒否の事実もないので、不当労働行為との主張は容認できない。
2500 別組合の結成・援助
職制とX8との飲食、密談の事実等からみると、X8が中心となって結成した職員労組が会社と密着した関係にあることは容易に推察できるが、それだけをもって直ちに会社が分会を分裂させ、職員労組をつくったとまで断定できない。
2610 職制上の地位にある者の言動
3020 組合活動への制約
就業時間中の組合活動は、たとえ業務に重大な支障がなかったとしても、会社が黙認すべきいわれはないところであり、本件のビラ配布も急を要する組合用務でなく、また部長発言も、この程度の発言をもって組合活動に不当な圧力を与えたものとはいえない以上、不当労働行為であるとは認められない。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
分会事務所の電話の撤去が組合運営に及ぼす重大な支障やその電話の使用は会社が黙認していたものであるという事情を考えると、事前通告もなく撤去した会社の態度は妥当ではなく、組合が自費で電話架設を図った際の妨害行為とともに、支配介入行為であると判断される。
2700 威嚇・暴力行為
3020 組合活動への制約
いかに重要な組合活動があったとしても、病気休養のため欠勤中の者が就業時間中何のことわりもなく会社に出入りするのを黙認する必要はなく、部長がカメラ等により威圧したものとしても、警告という軽い処分であった点を考えると、組合活動に対して不当な圧力を加えたものとは認められない。
3106 その他の行為
組合が、教習内容の変更は労働条件の変更になるとして、話し合いを申し入れている以上、会社として当然応じるべきところ、労働条件の変更にはならないと一方的に解し、かたくなに話し合いを拒んだ会社の態度は、労組法7条3号に該当する不当労働行為であると判断される。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集52集105頁 |
評釈等情報 |
 
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