概要情報
事件名 |
広瀬鉄工所 |
事件番号 |
大阪地労委昭和47年(不)第52号
大阪地労委昭和47年(不)第65号
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申立人 |
全大阪金属産業労働組合 |
被申立人 |
株式会社 広瀬鉄工所 |
命令年月日 |
昭和48年11月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
賃上げの考課査定における組合間差別、実質的団交拒否、女子組合員の配転、反組合的発言等をめぐる事件で、再査定の実施、差額相当額の支払などを命じ、配転については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、昭和47年3月当時の申立人組合広瀬鉄工所分会の分会員10名の同年賃上げにおける考課査定の平均点数が、 76.94以上になるよう再査定し、上記分会員 (ただし、X1を除く) に対して、各賃上げ額を是正し、かつ同年4月以降の賃金について、この再査定によって生じた差額相当額を支払わなければならない。 この再査定にあたっては、上記分会員の従来の査定点数を同人らに不利益に変更してはならない。 2 被申立人は、縦2メートル、横1メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、本社事務所および本社工場の従業員の出入口付近の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
3700 使用者の認識・嫌悪
賃上げに関する分会員の低査定は、工場には滅多に顔をみせない常務らが分会員、非分会員間に大きな格差をつけたことによるものであり、また社長らの反組合的発言等をも勘案すると、会社が分会の存在を嫌悪する意思から行なったものと判断するのが相当であって、不当労働行為であると言わざるを得ない。
2248 実質的権限のない交渉担当者
会社は、分会との団交において、責任をもって回答できる者を出席させず、またゼロ回答や別組合に対する回答額の伝達を繰り返すのみであるが、会社のこのような態度は、分会との団交を軽視するものであって、誠意をもって団交に応じようとするものでなく、団交拒否にあたると言わざるを得ない。
2305 労働協約との関係
会社は尼崎工場には分会員が存在しない以上、工場移転に関する団交を拒否しても確約書に違反せず、不当ではないと主張するが、確約書においては分会員の存在が団交の開催条件となっていないと認められるところ、これを一方的に無視し、団交を拒否し続けた会社の態度は、不当労働行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3700 使用者の認識・嫌悪
常務や社長の発言は、鉢巻の着用を思いとどまらせようとする内容のものであり、分会の鉢巻着用を嫌悪してこれを妨害する意図のもとになされたことは明らかである。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員X2の配転は、会社がX2の背信の言動が経理課員としての適性に欠けると判断して行なったものであり、また配転先の倉庫業務も事務的作業が主たるもので、女子社員の業務として不適当とはいえないから、X2が分会員であることを理由としてなされたものとは認め難い。
3411 その他の従業員の言動
本件審問の全趣旨に徴しても、別組合員のビラ撤去行為が会社の意を受けてなされたものとは認め難く、不当労働行為であるという組合の主張は採用できない。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
組合は、工場移転に関する団交応諾をも求めるが、本件工場移転はすでに完了しているので、団交の開催まで命ずる必要を認めない。
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業種・規模 |
鉄鋼業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集52集90頁 |
評釈等情報 |
 
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