労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  マルハタクシー 
事件番号  大分地労委昭和47年(不)第14号 
申立人  マルハタクシー労働組合 
被申立人  株式会社 マルハタクシー 
命令年月日  昭和48年10月22日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が組合と交渉もせず、一方的に嘱託雇用制度を導入し、黄犬契約を含む嘱託雇用契約を締結するよう組合員に説得した事件で、嘱託雇用契約の破棄、支配介入の禁止などを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員の一部と締結した別紙目録記載の内容を包含する嘱託雇用契約を破棄しなければならない。
 被申立人は、申立人組合を無視して、直接申立人組合員に別紙目録記載の内容を包含する嘱託雇用契約締結を勧誘して組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、本命令書を受領した日から10日以内に縦横1メートルの用紙に下記陳謝文をわかりやすく墨書し、これを本社および営業所内の従業員の見やすい場所に一週間掲げ、従業員に周知させねばならない。
                昭和  年  月  日
マルハタクシー労働組合
 執行委員長 X1 殿
             株式会社 マルハタクシー
              代表取締役 Y1
        陳    謝    文
 会社が、貴組合と協議することなく、貴組合員に対して行なった嘱託雇用契約締結の勧誘行為は、大分県地方労働委員会の命令により、不当労働行為であると認定されました。会社はその行為を深く反省し、陳謝の意を表わすとともに今後このような行為を繰り返さないことを確約いたします。
3 申立人の損害補償の申立ては却下する。 
判定の要旨  1501 黄犬契約
会社が一部組合員と「嘱託雇用契約期間中、労働組合に加盟せず、また組合活動も致しません」という文書を含む契約を締結したことは、いわゆる黄犬契約を締結したものであり、労組法7条1号に該当の不当労働行為である。

2625 非組合員化の言動
3106 その他の行為
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
組合活動が活発になった時期に、活発な活動家を除く組合員を中心に、労働協約を無視して、嘱託雇用契約の勧誘を行なっていること、契約の中には黄犬契約的文言が含まれていること等を考えあわせると、嘱託雇用制度の導入が真実会社の赤字打開策であったとしても、組合の組織を弱体化するための方便であったことも否定できない。

5005 損害賠償の請求
組合は、不当労働行為によって組合が受けた損害金の支払を求めているが、これは、不当労働行為救済制度になじまないものであるから却下する。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集52集63頁 
評釈等情報  労働判例 1974年2月1日  190号 84頁 

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