労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  日本瓦斯工業 
事件番号  東京地労委昭和47年(不)第109号 
東京地労委昭和47年(不)第121号 
申立人  全日本商業労働組合 
被申立人  日本瓦斯 株式会社 
被申立人  日本瓦斯工事 株式会社 
命令年月日  昭和48年10月16日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  分会結成の準備活動の中心メンバーに対する出向命令、分会に対する加入妨害、脱退勧奨、組合活動に対する妨害等をめぐる事件で、原職復帰、反組合的言動の禁止などを命じた。 
命令主文  1 被申立人日本瓦斯株式会社は、昭和47年9月1日付で申立人組合員X1に対してなした出向命令を取り消し、同人を出向命令前の原職に復帰させなければならない。
2 被申立人両社は、次の行為をしてはならない。
(ア)職制をして従業員の申立人組合への加入または復帰を妨害させ、もしくは組合からの脱退を勧誘させること。
(イ)口実を設けて組合員を帰郷させまたは出張を命じてその間、組合活動から引き離すこと。
(ウ)職制をして組合のビラまきに関して、組合員に「あれは何だ」「表の人達を帰らせろ」とか高圧的にいわせて威圧すること。
(エ)組合員の従事していた仕事を取り上げること。
3 被申立人両社は連名で、下記の文書を申立人組合に交付するとともに、本命令書受領の日から1ヵ月以内に、社内報「日本瓦斯新聞」に同文を読みやすいように印刷掲載し、全従業員に配布しなければならない。
               記
 日本瓦斯株式会社が昭和47年9月1日、貴組合の組合員X1に出向を命じたこと、ならびに両社の職制が従業員に働きかけその組合加入や組合への復帰を妨害し、組合からの脱退を勧誘したこと、口実を設けて組合員を帰郷させ、または出張を命じてその間組合活動から引き離したこと、組合のビラまきに関して組合員に威圧的な言葉を用いたこと、および組合員の仕事を取り上げたことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このようなことのないよう留意します。
 同委員会の命令によって交付 (掲載) します。
  昭和  年  月  日
           日本瓦斯株式会社
            代表取締役  Y1
           日本瓦瓦斯事株式会社
            代表取締役  Y1
  全日本商業労働組合
   執行委員長  X2 殿
    (注 年月日は交付した日を記載すること)
4 被申立人らは、本命令第1項および第3項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
3700 使用者の認識・嫌悪
会社側は、X3の現場監督の仕事をはずしたのは、X3に基本的なものを覚えさせようという親心から、教育方針を変更したことに基づくものであると主張するが、上司の部長が分会の行為に極度に怒りを覚えていたところからみて、組合嫌悪の感情が働き、組合員X3から仕事を奪ったものであると認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
部長代理が総務課女子職員に対し、「総務課は会社の機密を扱うところだから組合には入れない」と発言したことについては、会社側の主張に合理性はなく、むしろ分会結成の動きを察知し、組合加入を防止しようとしたものであると認められる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3700 使用者の認識・嫌悪
たとえX3とX4との間の争いについて、相談を受けたものであるにしても、部長が、ただちにX3にのみ退社を勧奨することは常識では考えられないことであり、部長の退職勧奨発言は、X3が組合員であることを嫌ってなした支配介入行為である。

2700 威嚇・暴力行為
会社側は、近隣の人々に迷惑をかけないようにビラをまくよう注意しただけであると主張するが、組合のビラまきについてトラブルが生じたり、近隣からの苦情もでたことがないことを考えると、会社側の諸言動は、分会結成、ビラまきなどに怒りを覚え、極度に昂奮して、ビラをまく組合員を威圧したものであると認められる。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社側は、分会結成の動きがあることやX1がその中心人物であることを察知していたこと、出向を命ずる合理的な理由がないこと、X1に対して社長命令であると高圧的に答えるのみで、具体的な出向理由を説明していないこと等を総合すると、X1に対する出向命令は、分会結成を妨げ、分会を壊滅する目的で行なったものであると認められる。

2611 その他の従業員の言動
2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
3106 その他の行為
会社の地方駐在の嘱託員が、組合員の両親に電報を打たせ、本人を帰郷させたことは、本人の組合活動を知った会社側の組合活動妨害行為であるとともに、組合脱退工作である。

業種・規模  ガス業(熱供給業を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集52集48頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]